モーターショー化していないIFAでも感じるクルマの存在感:IFA 2015リポート(2/3 ページ)
ドイツのベルリンで開催された世界最大級の家電見本市「IFA」。毎年1月に米国で開催される「International CES」が、自動車メーカーが展示を行うなどモーターショー化している一方で、家電ショーであることを強く意識するIFAはまだそうなっていない。とはいえ、そこかしこで家電との連携が重視されつつあるクルマの存在感は感じられた。
クルマとの連携を強化するサムスン
Samsung Electronics(サムスン)は2014年から、BMWの電気自動車「i3」とスマートウォッチ「Samsung Gear」を連携させ、残充電量などクルマの状態確認や、ロックの開閉やエアコンのコントロールの実現など、クルマとウェアラブルデバイスの連携に関する共同開発に取り組んでいた。
IFAではウェアラブルデバイスだけでなく、サムスンが2014年に買収したスマートホームプラットフォーム「SmartThings」とBMWのテレマティクスサービス「ConnectedDrive」との連携も紹介していた。これはConnectedDriveのメニューの1つとして、SmartThings対応製品をクルマから制御できるというもので、これによりクルマの中から家の施錠や解錠、照明などの制御が実現できるようになる。
また、クルマに関する新たなサービスも発表した。「Car Mode for Galaxy」と呼ばれるサムスンの新サービスは、MirrorLink技術によりスマートフォンとインフォテインメントシステムとの連携を実現するというもの。これにより、サムスンのスマートフォンのコンテンツを車内でも利用できるというものだ。その第1弾としてVolkswagen(フォルクスワーゲン)との提携も新たに発表した。
Car Mode for Galaxyはちょうど、iOS端末をインフォテインメントと連動させるAppleの「CarPlay」や、Android OS端末を同様に連動させるGoogleの「Android Auto」の対抗馬となる。とはいえ、サムスンは自社で車載OS関連技術を構築したわけではなく、オープン規格を採用した形だ。
なお、提供開始時期については明らかにされていない。
BMWはMotoGPのセーフティーカーにGoProを搭載
アクションカメラで一躍名を知られるようになったGoProのブースでは、MotoGPで実際に利用されているBMW製セーフティーカーにGoProが搭載されていることを紹介していた。
2015年4月、GoProはMotoGPの商用権を保有するDorna Sportsとの提携を発表し、MotoGPにおけるオフィシャルなウェアラブルカメラとして5年間の契約を締結している。オンバイクでのコースプレビューをはじめとするレース関連コンテンツを提供するほか、BMWのセーフティバイクにも正式に搭載されている。また、2015年6月には日産自動車のスポーツブランドNISMOと提携し、ル・マン24時間耐久レースなどにもオンボードカメラとして活用されるなど、モータースポーツ分野での展開を強化している。
「ハイレゾ」で自動車分野に再進出するソニー
ソニーは「感動(KANDO)」をテーマに、世界初の4Kスマートフォン「Xperia Z5 Premium」をはじめとする4K対応製品やコンパクトオーディオシステム「CAS-1」、ヘッドフォン「h.ear」などのハイレゾリューション(以下、ハイレゾ)対応製品など、高画質・高音質をこだわり抜いた製品を紹介していた。
その中で、「ハイレゾをいつでもどこでも楽しめる」ようにと、プレミアム・インカー・エンタテンイメント/コンパクトカーオーディオシステムも紹介し、フルスピーカーを搭載しなくても十分な音質を楽しめる環境の提供について発表していた。デモではウォークマンやスマートフォンなどをUSB接続してデバイス内のコンテンツを車内でもハイレゾで楽しめる環境を紹介していたが、NFC対応デバイスによるペアリング接続も可能だとしている。
クルマという限られたスペースの中で前後のスピーカーから流れてくる臨場感は、クルマが家と変わらない、重要な居住スペースであることをあらためて知らしめているようだった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.