バネ上マウントのウィングの怖さ:車を愛すコンサルタントの学生フォーミュラレポ2015(1)(3/4 ページ)
車とバイクが大好きなモノづくりコンサルタント 関さんの「全日本学生フォーミュラ大会」取材レポート! 2015年の第13回大会は「ある変化」がありました。そして前回の覇者・名古屋大学、エンデュランス競技でトラブルが……!
京都大学 VS 日本自動車学校
第2レースもシングルゼッケン同士の対決です。先にスタートしたのはNo.2京都大学「KZ-RR13」です。京都大学は2013年の第11回大会でエアロデバイスなしのシンプルなマシンで安定した走りを見せて初優勝した姿を記憶しているので、今回の大きなウィングを装着したマシンにはちょっとびっくり!
「あれ? 京都大学はエアロデバイス着けない方針じゃなかったのかなぁ?」と独り言をつぶやいたら、背後から「すみませんねぇ。」の声が――京都大学ファカルティアドバイザー、山路伊和夫先生でした。
筆者(以下S) ありゃ、聞かれちゃいました(汗)。こうなったらいろいろお聞きしちゃいましょう。ノンエアロで優勝したマシンから、なぜ大きく方針転換したのですか?
山路先生(以下Y) エアロデバイス装着は2014年のマシンからなのですが、新しく入ってきた学生たちが「やりたい」って言うので、任せました。今乗っているドライバーがカウル製作の中心人物なんですよ。
S 現状に甘んじない、変化をいとわないってことですね。安定した走りですねぇ! お、1分3秒台に突入しました!
Y このマシンはシャシー全部がバネ下に入っています(大会プログラムの車両紹介には”ツインシャーシ構想”と表現されています)。
S カウルのフィニッシュも美しいですね。やはり速いマシンは美しい!後でじっくりマシンを見させていただきますね!(その後、残念ながらその機会は得られず……)。
Y 関さん、いつも学生フォーミュラを取り上げていただき、ありがとうございます。
S とんでもない、こんなにレベルの高い学生たちのモータースポーツは他にはありません。もっともっと盛り上げるためにいろいろしたいですね。例えばエコパスタジアムの中で動的審査をすれば、最高速だってもっと出せるし(現状は時速100kmに届くか届かないかくらいです)、観客ももっと見やすい。静岡県も巻き込んで何かしたいなぁ!
――この後しばらく山路先生と話が盛り上がっていたのですが、「KZ-RR13」がドライバー交替時に再始動出来ず……。原因は不明ですが、単気筒エンジン(ヤマハ発動機 WR450F+電動スーパーチャージャー)の宿命ともいえる熱関始動性の悪さは小型軽量、ピックアップの良さとのトレードオフ。次回はきっとまたさまざまな対策を含め、素晴らしいマシンを作ってくることでしょう。
京都大学は他の動的審査で好成績を収めたのはもちろんのこと、ベストエアロ賞(エアロデバイス装着から2年目での受賞! 素晴らしい)、ベスト三面図賞で特別表彰を受けるなど高い技術力が認められました。総合成績は23位となりましたが、引き続き注目すべきチームであることに変わりはありません。
さて、一方のNo.9 日本自動車大学校「FFN-06」は、ホンダ「CBR600RR」の4気筒エンジンを搭載した真っ赤なマシン。後輪直前にセットされるモリワキ(モリワキエンジニアリング)のサイレンサーがすてきです。
日本自動車大学校は千葉県成田市の私立専門学校ですが、私がいつも見ているBS日テレ「おぎやはぎの愛車遍歴」のロケ現場としても有名です。自動車専門学校だけに学生フォーミュラの他にもオリジナルカーを製作して「東京モーターショー」や「東京オートサロン」に出展しています。同校内にあるショートサーキットで、プロレーシングドライバーによるドライビングレッスンが受けられるなど、筆者が高校生に戻れたら、入学したくなるようなユニークな学校です。
学生フォーミュラには自動車研究科が卒業研究の一環として2010年から初参戦し、2012年以降は常にベスト10入りという強豪チームになりました。
さて、「FFN-06」は派手さはないものの、安定した走りで1分5〜6秒台をコンスタントに刻んでいきます。ドライバー交代時も難なくリスタートし、ホンダエンジンとモリワキサイレンサーの組み合わせで心地よいエキゾーストノートを響かせながら危なげなく完走を果たしました。エンデュランスでは5位、総合で6位と言う過去最高の順位を獲得しました!
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