ARM「mbed OS」の現在地:IoT観測所(13)(3/4 ページ)
ARMが発表したIoT向けOS「mbed OS」は2015年10月のリリースを目指して作業が進められており、その意図するものもある程度は見えてきた。Bluemix連携やMUCの55mmシフトなどトピックの多いmbed OSの「いま」を解説する。
「mbed Client」の登場
さて、ここまでの話は基本的に前回と変わらないのだが、その後のUpdateについて。
まず2015年4月に「mbed Client」が新たに追加された(Photo02)。これは何か?というと、mbed OSはターゲットがCortex-MベースのMCUなので、よりパワフルなCortex-Aなどでは原則mbed OSが使えない(というか、Device ServerやDevice Connectorと通信できない)。これをカバーするため、アプリケーションプロセッサ上で動くmbed OSのサブセット(機能的にはむしろスーパーセットかもしれない)にあたるライブラリ群が、mbed Clientという名称で提供されることになった。
このmbed Clientの目的を2015年6月に同社 Kriszrian Flautner氏(Photo03:ARMのGeneral Manager of Internet of Things Business)に聞いたところ「mbed Clientは、mbed Device Serverやクラウドと直接コミュニケーションしてマネージできる機能を持つ。mbed Deviceは最小限の通信プロトコルしかサポートしていないからね。mbed Clientならば(Linux上などで動いているから)標準的な通信プロトコルを全部利用できる」とした。
ちなみに、基本的にはゲートウェイなどある種の組み込み機器、例えばオフィスの複合機(MFP:Multi-Function Printer)などに実装することを想定しており、「スマートフォンやPCに実装することも可能だが、そうした使い方を推奨しているわけではない」という話であった。
このあたりはmbed OSのターゲットとするものがまだ明確には決まっていないものの、HomeKitやBrilloなどよりもデバイス寄りに近い(スマートフォンなどと直接通信することは想定しておらず、そこは全部クラウドの先になる)事を想定していることと無縁ではないと思われる。
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