「キャスト」の3モデル同時開発を実現したデザイン案ストックと3Dデータ活用:車両デザイン(2/3 ページ)
ダイハツ工業は、新開発の軽自動車「キャスト」を発表した。個性の重視によってデザインへの要求が多様化する市場需要に対応し3つのバリエーションモデルを用意したことを特徴とする。これら3つのバリエーションモデルの同時開発を実現したのが、「デザイン案ストック」と「3Dデータ活用」である。
デザイン期間は半減、開発期間は12カ月から10カ月に短縮
社長の三井氏が「当社のデザイン力を全て凝縮した」と強調するキャストだが、どのように開発が進められたのだろうか。
ダイハツ工業の執行役員 技術本部長を務める上田亨氏は「軽自動車、登録車ともデザイン重視モデルの販売台数が伸びている。そこで、キャストのコンセプトを、『生活を彩る自分仕様の軽自動車』とした」と述べる。ここで言う「自分仕様」を反映したのが、アクティバ、スタイル、スポーツという3つのバリエーションモデルの同時開発である。
キャストでは、車両の基本構造は共通にしながら、各モデルの独自性を際立たせられるパーツを洗い出した上で大胆に変更することで、世界観の違いを表現したという。例えば、リヤクォーターピラーパネルは外板部分を樹脂パーツの取り付け構造にすることで、さまざまなカラーに対応できるようにした。スポーツで赤のワンポイントを加える際にも利用されている。
フロントグリル形状が同じスタイルとスポーツのバンパーは上下2パーツ構成になっており、下部パーツの変更でそれぞれのモデルのデザインに対応できる。ドア側面下部は3モデルで異なるデザインになっており、アクティバはガンメタリック塗装のサイドドアモール、スタイルはメッキ加飾のサイドドアモール、スポーツは赤のピンストライプ付きのサイドストーンガードにして、デザインの差異化を図った。
内装も、インストルメントパネルの構造は共通化しながら、インナートレイをオープンタイプとクローズタイプで使い分けている。
その一方で丸型形状が印象的なヘッドランプとリヤコンビネーションランプは、3モデルで共通部品とし、開発コストの削減につなげている。
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