原価低減に欠かせない科学的アプローチを学ぶ【中編】:実践! IE;磐石モノづくりの革新的原価低減手法(8)(2/5 ページ)
革新的な原価低減を推進していくための考え方や手法について解説する「磐石モノづくりの革新的原価低減手法」ですが、前回から3回にわたり「原価低減推進のために必要な科学的アプローチの手法」についてお伝えしています。中編となる今回は「ワークサンプリング法(WS法)」について解説します。
観測対象の決定
ワークサンプリング法を有効に機能させるためには、まず調査の目的をシッカリと定めて、測定しようとする事柄の内容を決めることが必要です。例えば「機械の稼働率を調べるのか」「作業者の行動内容を調べるのか」といったことです。漠然とした考えのままで測定したために、後でやり直した例を多く見かけます。重要なポイントは以下の3つとなります。
(1)責任者の承認を得ること
まず、調査(観測)対象となる職場の責任者に、調査の目的をよく説明して協力が得られるようにあらかじめ依頼しておく必要があります。
(2)観測対象の作業者または設備などを決定する
観測対象が作業者の場合は、対象職場を代表する標準作業者(一定の習熟期間を経て、決められた正しい方法でその仕事をなしとげる能力を持った作業者)を対象にして行うことが望ましく、また、対象者数は、観測者1人当たり20人程度が良いとされています。
(3)観測対象の職場範囲を決定する
観測対象は、作業場があまり広範囲に散らばらないように選ぶことも必要です。また、できるだけ類似の作業を観測対象に決めた方が観測しやすいなどのメリットがあります。
予備調査(試行調査)
発生比率の予測を行うために、手始めとして1〜2日くらいの間で、任意の回数だけ作業を抽出して予備調査を行って、その作業全体を理解すると共に、発生項目や発生比率を大まかにつかんでおきます。また、予備調査の結果に基づいて、発生すると予想される作業をどの程度の細かさに区切るかなどを決めます。
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