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原価低減に欠かせない科学的アプローチを学ぶ【中編】:実践! IE;磐石モノづくりの革新的原価低減手法(8)(1/5 ページ)
革新的な原価低減を推進していくための考え方や手法について解説する「磐石モノづくりの革新的原価低減手法」ですが、前回から3回にわたり「原価低減推進のために必要な科学的アプローチの手法」についてお伝えしています。中編となる今回は「ワークサンプリング法(WS法)」について解説します。
IE(Industrial Engineering)を基に、革新的な原価低減を推進していくための考え方や手法について分かりやすく解説する連載「実践! IE;磐石モノづくりの革新的原価低減手法」。
前回からは3回にわたり「原価低減推進のために必要な科学的アプローチの手法」について解説しています。前回はその中で「三現主義」と「PDCAサイクル」について紹介しました。今回は特にIE手法の中でも有効な手法である「ワークサンプリング法(WS法)」について解説します。
ワークサンプリング法とは?
改善の前後など、現状を数値で把握する方法として多用される手法に「ワークサンプリング(Work Sampling)法」(略称:WS法)があります。例えば、限られた時間内でストップウォッチを用いて仕事を直接的に観測する連続稼働分析法では、観測中に現れた現象しか測定することができません。しかし、実際の仕事の中では、さまざまな現象が不規則に発生しています。
ワークサンプリング法は、ランダム(無作為)に決定した時刻に、その瞬間の調査対象の稼働内容を観察して、その回数を合計して発生比率を求めるという考え方です。ワークサンプリング法には、次のような特徴があります。これらの特徴を踏まえて適切な活用を行ってください。
長所
- 観測方法が瞬間観測であるため、1人の観測員で多くの対象を観測でき、観測にも手間が掛からないので経済的な観測手法である
- 観測に特別の熟練を必要としないため、誰でも簡単に観測することができる
- 被観測者(作業者)から離れた所での瞬間的観測であることから、観測される側が感じる精神的圧迫感などの心理的影響が極めて少ない
短所
- 短いサイクルタイムの繰り返し作業や作業動作の観測には向かない
- 観測結果は、現象を定量的に表現できても、その現象が発生した原因までは観察できない
- 観測の瞬間に、作業者が故意に態度を変更したりすると、ゆがめられたデータを内蔵してしまう可能性がある
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