なぜFPGAが注目されるのか、開発ボードに触れて確認する:MAX 10 FPGAで学ぶFPGA開発入門(1)(2/3 ページ)
最近では「FPGAの重要性」について語られる機会が増え、適用事例も増加している。ではなぜ今FPGAなのか。実際の開発ボードでFPGAを学びながら、FPGAへの理解を深めよう。連載で使う「MAX 10 FPGA 評価キット」の読者プレゼントもご用意。
「MAX 10」でFPGA開発の基礎を学ぼう
ということで、いよいよ本題。
FPGAベンダーは各社とも新製品が出るたびに、これを利用できる開発キットや開発ボードをリリースしているが、通常は汎用の開発ボードの上に、FPGAの乗ったドーターボードを積むという形態が多く、ちょっと試してみようといった用途にはコストの面から適切とは言いにくいものだった。
ところがAlteraが2014年10月に発表した「MAX 10」の場合、当初から自社でも低価格な評価キットが用意された上、早期からパートナーによるやはり低価格な開発キットが提供された(IoT機器などの開発期間を短縮、2種類の「MAX 10 FPGA」開発キット)。
Alteraはさらに「MAX 10 NEEK」と呼ばれる開発キットを発表している。こちらはMAX 10の上で「Nios II」というソフトウェアCPUを駆動し、この上でさまざまな機器を開発するためのリファレンスデザインとなっており、この結果、単にチップだけではなく7インチ/5点タッチ認識の液晶ディスプレイと8Mピクセルのカメラ、HDMI出力、温度/湿度センサー、3軸加速度センサー、マイクなどを搭載した、充実したキットとなっている。その分、お値段もそれなりで直販価格は375 USDとなっているから、ちょっと触ってみたいという用途にはやや不適当ではある。
さて、その代わりといっては何だが、MAX 10の発売当初から予告されていた「MAX 10 FPGA 評価キット」)を使って、FPGAで遊んでみたいと思う。
このキットを選んだ理由は幾つかある。まずは価格。$49.95というのは、FPGA評価キットとしては飛びぬけて安い。購入はAlteraの直販サイトからもできるし、代理店(筆者はMouser Electronicsから購入した)から入手も可能だ。
さらに安価な製品としては、Arrowが提供する「BeMicro MAX 10評価キット」が$30.00だが、こちらは最近でこそ供給体制が整ったようだが当初はちょっと入手が難しかったのでパスした。
2つ目が拡張性。Photo01を見てもらえれば分かるが、ボードの上にArduinoと互換のピンヘッダが用意されており、実際にArduinoのシールドが流用可能となっている。これについては、そもそも2014年9月に国内でMAX 10に関する説明会が開催された折、同社のPartic Dorsey氏(Senior Director of Product Marketing)が、まさにこの評価キットの上にArduino用のLCDシールドを搭載して動作させるというデモを行っており(Photo02)、このあたりはArduinoのI/Oに慣れている筆者としては有難いものと判断したからだ。
Photo02:このデモでは、評価ボードにマイクが接続され(ボードから下にぶら下ってる赤/黄/黒の線の先にマイクがつながっている)、ここで捕らえた音量を測定してLCDに棒グラフで表示するという簡易騒音計の実装を行ったデモである。ちなみにUSBケーブルは電源供給のためだけに使われている
Arduino互換のシールドは多用多種存在しており、これらを使う事で容易にデバイスを使える事になる。ピン数が足りなければ、ボード上に用意されているピン経由で、Arduino用に割り当てられた以外のMAX 10のピンを利用できる(ただ当初はとりあえず使うというレベルだから、そこまでの拡張性は必要ないだろうという気もするが)。
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