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なぜFPGAが注目されるのか、開発ボードに触れて確認するMAX 10 FPGAで学ぶFPGA開発入門(1)(1/3 ページ)

最近では「FPGAの重要性」について語られる機会が増え、適用事例も増加している。ではなぜ今FPGAなのか。実際の開発ボードでFPGAを学びながら、FPGAへの理解を深めよう。連載で使う「MAX 10 FPGA 評価キット」の読者プレゼントもご用意。

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なぜ今、FPGAが注目されているのか

 個人的な感想で恐縮だが、2012〜2013年あたりから急速にFPGAの適用事例が増えてきている気がする。

 これは2010年前後から、いわゆるASICの開発コストが急速に高騰化し始め、おいそれとASICを作れなくなったことに加え、汎用MPUあるいはあまり特定用途に特化しすぎていないASSP(モバイル機器向けSoCなどこの好例であろう)の性能が急速に改善したと、加えてFPGAそのものが45nm〜28nm世代に移行することで高性能が進んだことも無縁ではないはずだ。

 この結果、従来だとASICで済ませていたシステムを、ASSP+FPGAなどの構成で済ませることが可能になってきた。部品原価の面で言えばまだASICに分のあることもあるが、ASICの開発コストまで勘案するとペイしなくなりつつある。であれば、多少部品原価が上がっても、FPGAをシステムの中核に組み入れた方が開発コストの低減や開発期間の短縮化、機能の充実や構成の柔軟な変更などメリットが上回る事になる。

 こうした理由でFPGAを利用したシステムデザインの増え始めたのが2009〜2010年ごろ、それが最終製品として世の中に出始めたのが2012年あたりからということになる。昨今では随分FPGAを組み込んだ最終製品が増えてきたように思う。

連載:MAX 10 FPGAで学ぶFPGA開発入門

FPGAのトレンド

 こうした市場の活性化や拡大に伴い、各社がさまざまな製品を頻繁にリリースしている。MONOistのFPGAコーナーを見ていただければ、そうした状況の一端もお分かりかと思う。ここ数年のトレンドで言えば、

  • FPGAの高集積化

 28nmに続き、20nmプロセスを利用した製品出荷や16/14nmプロセス向けの開発ツールのリリースなど、先端製品はどんどん微細化を進めている。FPGAの場合、いろいろ新技術や新機能は入っているものの基本的にはSRAMの塊であって、SRAMの容量はつまるところプロセスを微細化するほど増える結果、利用できるゲート数がどんどん増える事になった。

  • CPUの搭載

 以前からMPUあるいはMCUを内蔵した製品は存在していたが、昨今はCortex-A9コアを内蔵したものが幅広く利用されており、これまでSoC+FPGAの形で構成されていたシステムをFPGA1個で済ませられる様になった。またこうしたCPU内蔵FPGAの場合、CPUコアとFPGA ファブリックの連携が高速に行えるので、トータルとしての性能も上げやすい。

  • 低価格化

 高集積化の逆説的な効果でもあるが、ハイエンドFPGAは相変わらず高価なままである。ところが一番広く使われるミドルレンジや、さらにその下に位置する製品についてはどんどんコストが下がっている。その結果、FPGAとは思えないような金額で入手する事も可能になってきた。

 例えばLattice Semiconductorの提供する「iCE40ファミリー」の場合、ゲート数(同社の用語ではロジックセル数)が384〜7680と小規模だが、その代わり一番安いものはデジキーあたりで1個単位で買っても300〜400円、ある程度の数量(1万個程度)だと1個100円を切る金額で入手できる。

 同規模製品だとMicrosemiの「IGLOOシリーズ」がやはり同程度の価格帯であるし、もう少し回路規模の大きいAlteraの「MAX 10」やXilinxの「Artix」、あるいは前世代製品の「Spartan」などは数千円のオーダーで購入できる(調べてみたら、3840ゲートのSpartan 6 LXがデジキーでは1個1595円で購入可能だった)。

 こうしたローエンド製品の低価格化に加え、FPGAのマーケットが広がった事で各社開発ボードや評価ボードを充実させてきた事により、「FPGAを使ってみよう」という際の敷居が急激に下がってきた感がある。なにより開発キットの値段が急激に下がった。

 *ちょっと古い話だが、MONOistでも2007年から「触って学ぼうFPGA開発入門」という連載があり、連載で利用されていたのはヒューマンデータの「EDX-002」だった。ただこの製品そのものがもう通常販売が終了しており、現在は処分特価という名前の在庫処分が行われている状況だし、搭載されているFPGAはXilinxのSpartan-IIで、これもまたちょっと古すぎる。

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