まさに“倉庫のカーナビ”、UWBで倉庫内をガイドする支援システムを開発:FAニュース(1/2 ページ)
サトーとシーイーシーは、仮想3Dマップや屋内位置測位システム、バーコード技術を組み合わせた倉庫内物流ナビソリューションを共同開発した。
自動認識ソリューション事業を手掛ける株式会社サトーと、物流シミュレーションソフトを展開するシーイーシーは2015年8月5日、仮想3Dマップと屋内位置測位システム、バーコード技術などを組み合わせた、ウェアラブル型の倉庫内物流ナビソリューション「Visual Warehouse」を共同開発したと発表した。3Dマップなどを利用した倉庫内ナビゲーションシステムは「業界初」(サトー)だという。2015年秋に発売する。
大型倉庫などは、建設業界の好況やインフラ整備の進行などにより、需要が高まっている。一方で、労働人口の減少が進んでおり、倉庫内作業の効率化や経験に頼らないオペレーションの確保などが課題だ。加えて、特に大きな資材を扱う倉庫では、入庫したものを決まった位置に置く固定ロケーションでなく、適宜空いている位置に置くフリーロケーションで運用したいというニーズがあるが、熟練者でなければ正確で効率的なオペレーションが難しいという状況がある。
これらの課題をICTと先進技術で解決するために開発されたのがVisual Warehouseである。同システムは、3Dの倉庫マップを基に現物とデータの関連性を記録・管理することで、倉庫内のどの場所に何が置かれており「どういう手順で入庫および出庫を行えば効率的か」ということをナビゲーションするものだ。
位置情報にはUWBを活用
今回サトーとシーイーシーが開発したシステムには3つの技術的なポイントがあるという。1つは位置情報の把握にUWB(Ultra Wide Band、広帯域無線システム)を利用している点だ。
位置情報を把握するにはGPS(全地球測位システム)の活用などが一般的だが、GPSは精度面なども含め屋内では十分な効果が期待できない。これに対しUWBは30〜50m間隔で2つのセンサー(固定局)を設置すれば、2点測位により±30cm程度の精度でXYZの3軸での位置を把握することが可能だ。今回は英国のUbisenseの技術を活用したという。
ただしUWBにもデメリットがある。UWBは日本では法制度上、屋内利用に限られている点とUWBタグが高価である点だ。UWBタグが高価であるため、運用を考えた場合、入出庫されるモノ1つ1つに付けるとコスト面で採算が合わない。
サトーではこの点で運用を工夫。UWBタグをモノではなく人やフォークリフトに付け、人が作業した位置を記録することで「倉庫内のどこに何を置いたのか」を記録する仕組みとしたのだ。サトー ソリューション推進部 営業グループ 係長の上田佳正氏は「入庫が完了した時に作業記録として商品コードをスキャンすれば位置情報を合わせて記録できる仕組み。この運用であれば、UWBタグの数を絞り込める他、フリーロケ―ションで空いているところにモノを置いていっても置いている場所を管理することができる」と述べている。
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