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自動運転シンポジウムの主役はグーグル、自動車メーカーはなぜ発表を控えたのかAutomated Vehicleシンポジウム2015リポート(前編)(3/5 ページ)

2015年7月21〜23日、米国ミシガン州アナーバーで、自動運転技術のシンポジウム「Automated Vehicleシンポジウム2015」が開催された。前回の2014年と比べて参加者が倍増するなど盛況だった。しかし、自動車メーカーが自動運転技術に関する発表を控えたこともあり、Google(グーグル)が一番の注目を集めることになった。

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「DEFOCN」前にハッカーを刺激したくない自動車メーカー

 一方、自動車メーカー側からの発表は、米国のGeneral Motors(GM)が簡易自動運転の「スーパークルーズ」に関する商品説明を行ったに止まった。欧州、日本、韓国などの大手メーカーからは自動運転に関する具体的な技術説明がなかった。

 その理由について、筆者は幾つかの要素があると考えている。

 第1点は、国際協調に対する様子見だ。自動運転に関する法整備については現在、国連・欧州経済委員会の傘下にある自動車基準調和世界フォーラム(WP29)のワーキンググループのもとで各国政府間での折衝が続いている。

 第2点は、自動運転に必要な各種センサー技術について、先述のデルファイやボッシュ、そしてContinental(コンチネンタル)などの大手部品メーカーの技術革新に頼らざるを得ない状況にあり、現時点で自動運転に対して各自動車メーカーが独自性を出すのが難しいこと。

 そして第3点として、サイバーセキュリティに対する“予防線”があると思う。今回のシンポジウム全体を通じて、最も大きな課題として発表者の多くが指摘したのがサイバーセキュリティだ。NHTSAは既に、自動運転を念頭に置いた自動車に対するサイバーセキュリティ対策のガイドラインを公開している。そして現在、V2Vの本格実用化を踏まえて、サイバーセキュリティに対するより具体的な対策を練っているという。

 自動車メーカー各社は、サイバーセキュリティへの技術的な対応について、まだはっきりとした方向性を定めきれていない。そうした中、今回のシンポジウム翌月の8月上旬にラスベガスで開催される恒例のハッカーの祭典「DEFCON」に向けて、ハッカー業界内では「以前のトヨタ自動車、Ford Motor(フォード)に続き、大手自動車メーカーを狙い打ちしたハッキングを公表する」という“前ふり”が行われている。自動車メーカー各社からすれば、「ハッカーたちをこの時点で刺激したくない」という裏事情もあったのではないだろうか。

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