第39回 IBISのPackage Model:前田真一の最新実装技術あれこれ塾(1/4 ページ)
実装分野の最新技術を分かりやすく紹介する前田真一氏の連載「最新実装技術あれこれ塾」。第39回はIBISのPackage Modelについて解説する。
本連載は「エレクトロニクス実装技術」2014年6月号の記事を転載しています。
1.伝送線路の等価回路
KHz台やそれ以下の信号では配線を伝送線路としては考えません。しかし、数十MHzや100MHzを超えるような信号では配線を伝送線路として考えることが常識となっています。
一般に回路図では、図1のように配線は直線で書きますが、配線を伝送線路として考える時には伝送線路として、一般の配線とは区別して書くようにします(図2)。
一般の配線では信号は配線の途中で劣化せず、配線のどこでも同じ波形が保存されると考えます(図3)。
ところが、伝送線路では、配線はあるインピーダンスを持ち、配線の状況によって波形が変化しますし、配線の長さに応じて信号の遅延が生じます(図4)。
つまり、配線の途中では、場所によって、波形が変化していきます。
伝送線路を一般の回路素子で等価的な回路に現すと図5のようにLとCがはしご(ラダー)状に並んだ回路で表せます。
これは、配線が持つ単位長さ当たりのLとCの値で、特性インピーダンスは√L/Cとなります。このLとCの並びにより信号も少しずつ遅れ、これが遅延になります。信号の伝播(でんぱ)速度は1/√(L・C)となります。長さlの配線による遅延はl・√L・Cとなります。信号が高速になり、損失の影響を考慮する必要がある伝送線路ではこれにRとGが加わります(図6)。
このLとCの(とRとG)1組の組み合わせを段(ラダー)と呼びます。
伝送線路を表すとき、この段数が多ければ多いほど伝送線路がスムーズに、誤差なく表現できます。本来、伝送線路は非常に短い区間でLとCを表現し、微小区間が無限に連続していると考えています。
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