AUTOSARとは?/What is AUTOSAR?−2015年版−(前編):AUTOSAR〜はじめの一歩、そしてその未来(1)(4/4 ページ)
量産車にもすでに適用されている車載ソフトウェアの標準規格「AUTOSAR」。しかし現在も、AUTOSARとそれを取り巻く環境は刻々と変化している。本連載では、2011年に好評を博したAUTOSARの解説連載「AUTOSARとは?」の筆者が、2015年現在のAUTOSARの仕様や策定状況、関連する最新情報について説明する。
AUTOSARにおける「バージョン」
AUTOSARにおいてバージョン※12)は、正確にはRelease NumberおよびRevisionで示される。例えば、Release 4.2 Revision 1は、一般にR4.2 Rev.1、R4.2.1あるいはR421のようにも表記される。いずれも同じものを指す。
なお、バージョンに対する指定を受けた場合であっても、ほとんどの場合には、Major Release Number、すなわち、R3.x系/R4.x系の違いのみを気にすれば十分である。例えば、R4.0 Rev.3の指定を受けたときに、MCAL(Microcontroller Abstraction Layer:ハードウェア依存の各種ドライバソフトウェア)だけが、R4.0 Rev. 2あるいはR4.1 Rev.3しかないというような場合でも、ほとんどの場合には問題ない。
通常、対応するAUTOSAR XMLのバージョンの違いはツールでほとんどの場合に吸収可能であるし、インタフェース面で大きな変更があるような場合もほとんどない。バージョンをそろえることにこだわるよりも、むしろ異なるバージョンの組み合わせでいかに対処するかを考える方が、実際のAUTOSAR運用においてははるかに重要である。また、R4.0 Rev.3をベースとして、上位バージョンの機能を一部盛り込むというような運用もしばしば見受けられる。
注釈
※12)なお、本文中では、分かりやすさを優先してあえて「バージョン」という表現を使っているが、普段はそのような表現を使用せず、Release NumberやRevisionという表現を使用している。
まとめ
1回あたり4000字程度を目安にというお話をいただいたのだが、あっという間にそれを大幅に上回ってしまった。そのため、当初の連載第1回向けに用意した原稿のうち、「おさらい」部分を前編と後編の2つに分け、後編を第2回に持ち越すこととした。
なお当初は、「AUTOSAR導入の概要〜はじめてのAUTOSAR/Introduction to AUTOSAR(2015年版)」というセクションを短く入れるつもりであったが、こちらは連載の第3回までお待ちいただきたい。
http://www.etas.com/ja/
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ≫連載「AUTOSAR〜はじめの一歩、そしてその未来」バックナンバー
- What is “AUTOSAR”/AUTOSARとは?
車載ソフトウェアの標準仕様「AUTOSAR」への移行・適用に当たって、実際に理解しておくべきポイントやヒントを整理して詳しく紹介する - Facts on AUTOSAR/AUTOSAR導入の現実
今回は、前回お届けした現状の“AUTOSARの導入形態”をさらに掘り下げて、AUTOSAR導入の“現実”について見ていこう - 実際にAUTOSARを導入していくためには?
最終回では、AUTOSAR導入に向けた準備と効果的な導入の進め方について、そのヒントを紹介する。 - AUTOSARで変わる車載ソフトウエア開発
車載ソフトウエアの標準規格AUTOSARの採用に向けた活動が活発化している。規格策定の中心地となっている欧州では、AUTOSAR準拠の車載ソフトウエアを採用した新車が発売されるなど、取り組みが先行している。一方、AUTOSARへの対応が遅れていると言われていた日本でも、JasParの評価活動をはじめさまざまな取り組み事例が報告されるようになった。本稿では、まず既存の車載ソフトウエアとAUTOSAR準拠の車載ソフトウエアの違いについてまとめる。その上で、欧州と日本におけるAUTOSARの実装に向けたさまざまな取り組みを紹介する。