「エクストレイル ハイブリッド」は胸アツエピソード満載の人情カーだった!:今井優杏のエコカー☆進化論(19)(1/4 ページ)
「エクストレイル ハイブリッド」は、今後の日産自動車の製品展開にも期待を抱かせる、FF車向けハイブリッドシステムを搭載している。しかし筆者の今井優杏氏によれば、そのこと以上に「胸アツエピソード満載の人情カーだった!」とか。
日産から“待望の”ハイブリッド車
日産自動車から「エクストレイル ハイブリッド」が発売されました。
そう、このトピックスはファンにとって“待望の”と言ってもいいかもしれません。
ご存じの通り、日産はハイブリッド車で大きな後れを取ってきました。現在、日産のラインアップ上にハイブリッド車は存在するものの、ミニバン「セレナ」はいわゆるマイクロハイブリッドですし、その他は「シーマ」「フーガ」「スカイライン」に搭載されている、燃費のためというよりもトルクを走行に生かすことを目的とした、排気量3.5l(リットル)V型6気筒エンジン+1モーター2クラッチのFRベースのスポーツハイブリッドのみです。
もちろん、いち早く電気自動車の「リーフ」を販売したり、2008年に世界で初めて当時最も厳しい排出ガス規制と言われた「ポスト新長期規制」に適合したディーゼルエンジンを、まさに今回紹介する「エクストレイル」の2代目モデルに搭載して発表したりするなど、独自の路線でエコ技術を掘り進んできたことは事実です。
しかし、ハイブリッド抗争が激化する2003〜2006年ごろがちょうどその分岐点にあったでしょうか、当時はまだ海のモノとも山のモノとも知れなかった“ハイブリッド”なるものが、ここまで世界的な市民権を得ることにいささか否定的だったのが日産でした。
ハイブリッド車というのは完全なるゼロエミッション社会に移行するまでの1つの手段にすぎないと踏んで、ハイブリッド車を選ばずクリーンディーゼルに賭けたというのが、かの時代のお話。
しかし結果、現行の3代目エクストレイルからはディーゼルエンジン搭載モデル自体が姿を消しました。
その理由はあまりにも寂しいもの。
ディーゼルエンジン搭載モデルの販売シェアがわずか3%にとどまったからです。ディーゼルエンジンファンの私からしても、この結果は衝撃でした。
想像するに、クリーンディーゼルというものの浸透がまだユーザーになされておらず時期尚早だったこと、ガソリンモデルに比べて約50万円の価格差がついてしまったことに原因があったのではないかと思います。
50万円と聞くと「え、それだけで3%に甘んじたなんて!」と思いますが、ガソリンエンジン+CVTのグレード「25X」が260万7150円、対してクリーンディーゼルのグレード「20GT」は6ATで313万9500円。字面的に300万円越えちゃいますから、そりゃ怯みますよね。だったら50万円分、ガソリンで走ればいいや!って。
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