今水素ステーションを建てれば運営費は国と自動車メーカーが払ってくれる:燃料電池車(2/3 ページ)
トヨタ自動車と日産自動車、ホンダの3社は、燃料電池車の普及拡大に向けて、水素ステーションを運営するインフラ事業者に運営費を支援する。支援金額は、2015年度中の整備完了を想定する約100基の水素ステーションに対して、1基当たりで上限年間1100万円。支援期間は2020年ごろまでを予定しており、支援総額は50億〜60億円となる見込みだ。
政府の補助と組み合わせると運営費が掛からない可能性も
自動車メーカー3社の支援策は、燃料電池自動車新規需要創出活動補助事業を補完するものだ。
平成26年度補正予算に組み込まれている燃料電池自動車新規需要創出活動補助事業は、2015年2月27日に公募を開始している。その内容は、水素ステーションの運営費の3分の2、もしくは1基当たり年間2200万円(移動式水素ステーションで運用場所が2カ所の場合は年間2600万円)を上限として、インフラ事業者に支援するというものだ。
つまりHySUTの組合員のインフラ事業者は、燃料電池自動車新規需要創出活動補助事業と自動車メーカー3社からの支援を両方とも得られることを前提とすれば、水素ステーションの建設と運営に関するコストのうち、最初に掛かる建設費だけを負担すればよいことになる。
水素製造設備を持たない(オフサイト方式)水素ステーションの機器コストは、水素供給装置などをコンパクトにまとめたパッケージタイプで約2億5000万円、水素供給装置を搭載したトレーラーを使う移動式水素ステーションで約2億円と言われている。
そして同じく平成26年度補正予算に組み込まれている「燃料電池自動車用水素供給設備設置補助事業」では、水素ステーションの建設費にもNeVから補助金が出る。補助金の上限額は、水素供給能力が1時間当たり300Nm3以上の中規模設備で2億5000万〜2億9000万円、水素供給能力が1時間当たり100〜300Nm3の小規模設備で1億8000万〜2億2000万円となっている。
この補助金額を考えれば、水素ステーションの建設費についてもかなりの支援が得られることが分かる。もちろん水素ステーションを建設するには機器以外に土地取得も必要だ。しかし2014年4月の法改正によって天然ガスステーションとの併設が可能になるなど、水素ステーションの建設を推し進めるための環境は急ピッチで整備されつつある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.