「Inventor」の中には工作機械が全部入っている! 電動バイク「zecOO」開発秘話:DMS2015(3/4 ページ)
「第26回 設計・製造ソリューション展(DMS2015)」で、オートデスクは「Autodesk Inventor」のユーザートークショーを実施。電動バイク「zecOO(ゼクー)」のデザインを担当したznug designの根津孝太氏と、車体製造を担当したオートスタッフ末広の中村正樹氏がzecOOの開発秘話を紹介した。
2次元CADから「Inventor」へ
司会 ――そうした経験からもお互い3次元でコミュニケーションした方がよいだろうとなったわけですね。
根津さん zecOOの開発を始めるときに、中村さんに図面を3次元化したらどうですか? と持ち掛けたんです。
司会 ――それで、Inventorが導入されたんですね。しかし、2次元から3次元への移行で不安や失敗はなかったんでしょうか?
中村さん 2次元でずっとやってきていたので、最初「Z」座標に対する違和感はありましたね。しかし、Inventorをいろいろといじっているうちに、スケッチを描いて、拘束して、Z方向に膨らませるというステップで形が作れるんだということを知り、それを理解した瞬間に「何だ! うちでバイク部品を製造しているときと同じじゃないか!!」とピンときたんです。
アルミ板をけがいてコンターマシンで削り、その後フライスマシンで角を落として溝を作る……。普段やっているモノづくりと同じなんですよ。それに気が付いてからはもうあっという間に、フレームとかちょっとした部品なんかは作れるようになりましたね。そういう意味で、普段からモノづくりをやっている人であれば3次元CADはすぐに覚えられると思うんです。
本来、私はコンピュータが苦手で、どちらかというと「そんなもんに頼っていたらダメだぞ!」なんていう側だったんです。ただ、使ってみると便利なものは本当に便利だし、根津くんと情報を共有するには絶対に欠かせないツールになっていますね。
根津さん いや、本当に今や立派なInventor使いですからね(笑)。こんなおじさんなのに覚えも早くて本当に驚きましたね。正直、本当に覚えられるかなと感じていた部分もありましたから(笑)。やはり、中村さんがおっしゃっていたようにInventorはリアルなモノづくりをしている人にマッチしているツールだと思いますね。
中村さん そうですね。現場でモノづくりをやっている人は絶対に覚えるのが早いと思いますよ。あと、何だか安っぽい通販番組みたいに聞こえるかもしれないですが、Inventorはヘルプがとにかく充実しているんですよね。すごくポイントをついたヒントが書かれているんですよ。
司会 ――では、完全に独学でInventorをマスターしたんですか?
中村さん はい。周りにInventor使っている人がいないですし、根津くんに聞いても「僕、よく分かんないし」と言われましたからね(笑)。ただ、実際にモノを作るように作図して、作っていくというフローは変わらないんですよ。後はツールの操作の部分だけじゃないですか。どうやって面を張っていくか、それに対してモノを作っていくかだけなので、本当にヘルプが役に立ちましたね。
それと、Inventorの中には工作機械が全部入っているんですよね。カットする機械から溶接する機械から、フライスするマシンから全部入っているんです。ノートPCにインストールして持ち歩けばどこでも工作機械を使えるんですよ。
根津さん 僕は今まで3次元ツールをそのような目で見たことはなかったんですが、確かにその通りだなと思いました。実際、工作機械を使って加工していくように3次元CAD上でデータを作っていくんですよね。中村さんに言われて「ああ、なるほどな!」と気付かされましたね。
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