「薬事認証の国際協調を進める」、厚労省が新戦略「RSI」を策定中:MEDIX2015
「第6回 医療機器 開発・製造展(MEDIX2015)」の特別講演に、厚生労働省の大臣官房参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当)を務める磯部総一郎氏が登壇。現在準備を進めている新たな政策を明らかにした。
「第6回 医療機器 開発・製造展(MEDIX2015)」の特別講演に、厚生労働省の大臣官房参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当)を務める磯部総一郎氏が登壇した。「医薬品医療機器等法の成立について〜医療機器のより迅速な実用化に向けて〜」と題した講演の中で、現在準備を進めている新たな政策を明らかにした。
磯部氏が挙げた新たな政策の1つが「国際薬事規制調和戦略(仮称)〜レギュラトリーサイエンス イニシアチブ〜(以下、RSI)」である。
現在、医薬品や医療機器の認証審査は、米国ではFDA(食品医薬品局)が、日本では2014年11月に改定された医薬品医療機器等法を基に厚生労働省が管轄している。一方、欧州では、政府機関ではなく第三者機関による認証が主流だ。各国・地域で認証に関わる法制度の中身も違えば、審査のやり方も異なっている。
RSIは、各国・地域で異なる医薬品・医療機器の規制によって発生する参入障壁を取り除き、医薬品・医療機器産業のグローバル展開を容易にしようという取り組みである。磯部氏は「日本は2015年、医薬品と医療機器、それぞれの国際調和会合の議長国を担当しており、APEC地域での国際協力活動の共同議長にも就任している。そこで、各国とWin-Winの関係を構築して、医薬品・医療機器に関する規制の国際調和を図り、国際協力に積極的に貢献したい」と語る。
例えば、アジア地域での医薬品・医療機器の認証審査では、日本の薬事認証を得ていたとしても現時点では有利な取り扱いにならない。一方、米国のFDAの認証を得ていると、審査が簡素になるなど有利な取り扱いを得られることが多い。「日本の薬事認証が優れていることを国際的に認めてもらえれば、こういった扱いの差がなくなる可能性は高い。薬事規制に関する日本の知見を世界に発信していく」(磯部氏)ことがRSIの主要な取り組みになる。
RSIの狙いは、日本の薬事認証を得た医薬品・医療機器をグローバル展開しやすくするだけではない。日本の薬事認証が世界的な認知を得られれば、海外企業が日本で医薬品・医療機器を開発する可能性も生まれてくる。
RSIの詳細については、週内の2015年6月26日までに正式発表される予定だ。
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