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設計と製造を結ぶ国産タッグが始動、和製モノづくりITは世界に羽ばたくか製造マネジメント インタビュー(1/3 ページ)

図研と東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)が2015年2月設立した合弁会社「ダイバーシンク」がいよいよ始動する。第一弾として図研の「visual BOM」をOEM提供で、B-EN-Gの製造系ERPシステムである「MCFrame」に加えて連携を進める。協業の目的と現状の取り組みについて、ダイバーシンクの代表取締役の上野泰生氏(図研 常務取締役)と取締役の羽田雅一氏(B-EN-G 常務取締役、CMO、CTO)に話を聞いた。

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 設計部門と製造部門の間に距離が開き、それがモノづくりの制約条件になっている――。多くの製造業でこうした悩みは避けられないモノとされ、既に「問題であるかないか」も認識できない状況にある企業も多い。

 しかし、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)による製品の変化やサービタイゼーションなどのビジネスモデルの変化、ドイツのインダストリー4.0などモノづくり革新の動きが広がる中、設計と製造が分断されている状況では、新たな動きに対応するのが難しい状況が生まれている。

 こうした中で、これらのニーズに応えるべく、国産タッグを結成したのが、図研と東洋ビジネスエンジニアリング(以下、B-EN-G)である。両社は2014年12月に、製品設計から生産、販売、原価管理までをカバーできる新たなITソリューションを実現するために資本業務提携を締結。これらをさらにもう一歩進めて2015年2月10日に、合弁会社「ダイバーシンク」を設立した(関連記事:設計と製造をつなぎ込め! 図研とB-EN-Gの新合弁会社「ダイバーシンク」が始動へ)。

 設立後、さまざまな準備を進めてきたが、協業の第一弾として図研の「visual BOM」をOEM提供で、B-EN-Gの製造系ERPシステムである「MCFrame」に組み合わせ「MCFrame PLM」として販売するなど、徐々に新たな形を見せ始めた。現状の取り組みについて、ダイバーシンクの代表取締役の上野泰生氏(図研 常務取締役)と取締役の羽田雅一氏(B-EN-G 常務取締役、CMO、CTO)に話を聞いた。

“15年越し”の設計と製造を結び付けるシステム

MONOist 設計と製造を結び付けるという「ダイバーシンク」の狙いをあらためて教えてください。

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ダイバーシンクの代表取締役の上野泰生氏(図研 常務取締役、写真右)と取締役の羽田雅一氏(B-EN-G 常務取締役、CMO、CTO、写真左)

羽田氏 「設計と製造の連携」は、15年くらい前から言われ続けてきたことだ。しかし、完全な一体システムの構築については、さまざまな障壁があり、現実的な解決策として、インタフェースなどを使ったシステム連携で対応してきた。ただ、インタフェースでの対応だと、連携するシステムのどちらかがバージョンアップすれば、その都度、インタフェースのバージョンアップが必要になり、ユーザー企業にとっては安心して使える環境にはなかった。B-EN-Gと図研は2010年頃から提携関係にあり、これらの連携システムの提供を行ってきたが、さらにもう一歩踏み込んで、ユーザーに安心して利用できる環境を作るために、新たな合弁会社の設立へと向かった。

上野氏 設計や製造のビジネスモデルや事業環境が大きく変わりつつあることも要因だといえる。製品そのものが売り切りで成立するビジネスモデルではなく、ライフサイクル全体で販売するビジネスモデルへと移行しつつある。また図研の顧客企業も従来BtoCの顧客が多かったが、BtoBでビジネスを行う企業が増えつつあり、設計と製造を合わせて考える必要性が高まってきていた。

 また、以前から「原価」や「リードタイム」という基準で考えても、設計と製造が切れていることで、実現できない壁のようなものがあり、結果としてそれがユーザー企業の競争力につながっていない状況があった。これらを解決するためには、設計と製造を一体で考えることが必要になり、そのためにはそれを支えるシステムが必要になる。以前から指摘されてきた問題だが、なかなか抜本的な解決につなげることができなかった。新たに合弁企業を設立することで、われわれでこの課題に取り組んでいくという姿勢をしっかりと訴えたかった。

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