第37回 携帯機器のコモデティ化を実現する部品技術:前田真一の最新実装技術あれこれ塾(3/4 ページ)
実装分野の最新技術を分かりやすく紹介する前田真一氏の連載「最新実装技術あれこれ塾」。第37回は携帯機器のコモデティ化を実現する部品技術について解説する。
3.新興国のタブレット、スマホの市場
新興国でのスマホのマーケットは異なります。まず、これらの国はファースト携帯としてのスマホ市場です。本来であれば、携帯電話でも十分なユーザーがいきなりスマホを導入するケースです。これは、中継局に大容量で効率の良い高速デジタル方式を使い、通話も高速パケットにしたほうが効率が良くコストも安いからです。スマホの普及率は低く、人口も多いので、マーケット規模は膨大なものがあります。
この市場を握るのは価格です。機能は、通話、メール、インターネット閲覧など必要なものだけに絞り、いかに価格を抑えられるかがキーになります。インドのスマホメーカー、マイクロマックス社は70ドルのスマホを販売して大きなシェアを取っています。インドでは、サムソンのスマホの価格はこの1.5倍もしています(日本経済新聞2014年2月11日より。図5)。
アメリカのモジラ(Mozilla)は2014年2月23日にスペインのバロセロナで開催されたMobile World Congress 2014の事前記者会見で25ドルスマホの開発を発表しました(読売新聞2014年2月25日。図6)。
これは、同社が開発した軽いFirefox OSを使って、小さなCPUと少ないメモリで基本機能を動作させるために安くできるのです。
今後、もっとも大きな市場である、新興国市場において、日本メーカーがもっとも苦手とする超低価格製品が作れるかどうかが成否を分けることになります。
今や、日本だけでなく、韓国企業も、ここでは競争力がありません。インドや中国、その他の新興国メーカーがスマホメーカーのメインプレーヤーになるでしょう。逆に、これらのメーカーの製品が、現在、携帯を使っていて、将来もスマホを使う予定のない人々向けに日本に、輸入されてくると思われます。
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