タイヤの転がり抵抗を測る日本唯一の“原器”は小平市にあった:タイヤ技術(3/5 ページ)
東京都小平市にあるブリヂストンの中核研究開発拠点「技術センター」には、新たなタイヤを開発するためのさまざまな試験装置が設置されている。同社が報道陣に公開した、タイヤの転がり抵抗を計測する日本唯一の“原器”と呼べるような標準試験機や、時速400kmで走行中のタイヤの接地面を計測できる「アルティメットアイ」などについて紹介しよう。
タイヤを転動させたときに発生する音を可視化
もう1つの無響室は、タイヤを実際に転動させたときに発生する音を可視化するための設備が用意されている。先ほど紹介した無響室と同様に、部屋全体がくさび型の防音材で覆われているものの、床下は免震ゴムなどは入っておらず、タイヤを転動させるための直径3mのドラム試験機が設置されている。ドラムを回すモーターは無響室の外側にあるので、タイヤから発生する音の計測に影響を与えないような設計になっている。
ドラム試験機のドラム表面には2種類の路面が用意されている。1つは比較的摩擦の小さい路面で、もう1つは一般的な道路と同程度の摩擦のある路面になっている。ドラムの回転速度は、車両の走行速度で最大時速100kmまで模擬することが可能。音の可視化には、多チャンネルのマイク(最大132個)で集音する音源探査装置を使用する。
この無響室では、通過騒音の規制に対応するために用いられることが多い。その際には、走行中の自動車のタイヤから発生する音が歩行者の耳に入るという状況を模擬するため、転動中のタイヤに対して多チャンネルのマイクを一定速度で平行移動させるトラバーサという装置を用いる。
実際の計測は、タイヤの回転状態を安定させるならし運転に10分、トラバーサを使った音の可視化で1分程度かかるということだった。
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