タイヤの転がり抵抗を測る日本唯一の“原器”は小平市にあった:タイヤ技術(1/5 ページ)
東京都小平市にあるブリヂストンの中核研究開発拠点「技術センター」には、新たなタイヤを開発するためのさまざまな試験装置が設置されている。同社が報道陣に公開した、タイヤの転がり抵抗を計測する日本唯一の“原器”と呼べるような標準試験機や、時速400kmで走行中のタイヤの接地面を計測できる「アルティメットアイ」などについて紹介しよう。
ブリヂストンは、乗用車や商用車といった自動車用タイヤで世界最大手の企業として知られている。自動車のみならず、航空機や農業機械、建設機械、鉱山機械などに使われるタイヤに加え、ゴムを素材とする化工品なども手掛けている。
同社は2015年5月28日、東京都小平市にある中核研究開発拠点の技術センターで運用しているさまざまな試験設備を報道陣に公開。2015年初に発表した、フラッグシップブランド「REGNO」の新製品「GR-XI」に採用した最新技術の開発現場見学会として開催された。
見学会の冒頭、同社フェローの原秀男氏は「自動車のタイヤが地面に接する面積ははがき1枚分程度にすぎない。この限られた面積の中で、さまざまなタイプの自動車に求められる性能を引き出せるような開発を行っている。今回見ていただく試験設備は、そういったタイヤの開発に必須のツールだ」と語る。
また同社タイヤ研究本部長の坂野真人氏は「タイヤには、設計を中心とした2つのトライアングルがある。1つは、研究と設計、実験から構成されるもの、もう1つは、工場と設計、製造技術から構成されるものだ。今回見ていただく試験設備を持つ技術センターは、研究を入口に、設計を経て、出口が実験になるトライアングルを担当している」と述べ、技術センターの重要性を強調した。
公開した試験設備は大まかに分けて3つある。1つ目は、タイヤから発生する音の評価・解析を行う「無響室」と「残響室」。2つ目は、タイヤの転がり抵抗を計測する転がり抵抗試験機。3つ目は、先述の「はがき1枚分の面積」というタイヤ踏面の挙動を計測・可視化できる施設「アルティメットアイ」である。ここからは、これら3つの試験設備の詳細を画像とともに紹介していこう。
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