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電動パワーステアリング世界トップシェアは譲らない、ジェイテクトの戦略とはクローズアップ・メガサプライヤ(2/3 ページ)

電動パワーステアリング(EPS)で世界トップシェアを握るジェイテクト。同社は、EPSの世界トップシェアを維持するため、「上流から下流へ」向かうという事業戦略を展開している。

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小型車向けのC-EPSと中型車〜大型車向けのラックアシスト式EPS

 ここでC-EPSの構造について解説しておこう。C-EPSは、パワーアシスト機構を構成するモーター、制御用のコントローラ、トルクセンサーをステアリングコラムに配置している。

 その名の通り、コラム部でパワーアシストを行うEPSだ。パワーアシスト機構を車室内に配置できるので、エンジンルームにスペースの余裕のない軽自動車や小型車に最適とされる。ただし、パワーアシスト機構が上流にあって、タイヤの向きを変えるラックを動かすまでの摩擦が大きいため、車両重量の大きな大型車の操舵性能を確保しにくい。

C-EPSの構造
C-EPSの構造(クリックで拡大) 出典:ジェイテクト

 2000年代にEPS採用に舵を切ったのが軽自動車と小型車である。ジェイテクトがEPS市場で世界トップシェアになれたのは、これら軽自動車と小型車に最適なC-EPSの製品展開を着実に進めてきたからだ。

ジェイテクトの村田正博氏
ジェイテクトの村田正博氏

 2013年時点の地域別シェアで見ても、日本やアセアン、インドといった小型車が多い地域では同社はトップだ。しかし、より大型の車両が多い北米や欧州では、2位に甘んじている。ジェイテクトの自動車部品事業本部で第2ステアリングシステム技術部の部長を務める村田正博氏は「C-EPSは、おおむねB〜Cセグメントクラスの車両までで用いられており、それより大型の車両にはラックアシスト式EPSが適している」と説明する。

 ラックアシスト式EPSとは、パワーアシスト機構をタイヤ車軸のラック上に配置するEPSである。C-EPSと比べると、エンジンルームの容積をパワーアシスト機構が圧迫するとともに、車軸上にあるパワーアシスト機構に防水構造が必要になるものの、パワーアシスト機構から直接ラックに力を伝えるので摩擦が小さく、操舵性能を出しやすい。つまり、エンジンルームにスペースの余裕があり、車両重量が大きくて操舵性能が要求される中型車〜大型車に適しているわけだ。

 ジェイテクトもラックアシスト式EPSを展開してこなかったわけではない。2004年に「RD(ラックダイレクト)-EPS」、2011年に「DP(デュアルピニオン)-EPS」を開発している。

 これらのうちDP-EPSについては、中型車向けEPSの主力製品として展開を拡大しているところだ。基本的には、C-EPSでステアリングコラムにあるパワーアシスト機構に防水構造を付与してラック上に配置した製品になる。ただし、より大きな軸力を必要とする大型車向けでは、樹脂歯車を用いるパワーアシスト機構の減速機サイズが大きくなり過ぎてしまうという問題がある。

DP-EPSの構造
DP-EPSの構造(クリックで拡大) 出典:ジェイテクト

 同社がこれまで大型車向けに展開していたのが、ラックと同軸上にモーターを配置するRD-EPSだ。RD-EPSは一部自動車メーカーからの採用はあったものの、大型車向けのEPSはラックの並行軸上にパワーアシスト機構を配置する「RP(ラックパラレル)-EPS」が主流になっていった。

 そこで同社は、RD-EPSに代わって中型車〜大型車をカバーするEPSとして、独自のRP-EPSを開発した。RD-EPSで10年以上培ってきたボールねじ構造を減速機に採用することで、パワーアシスト機構の小型化に成功。「専用設計された軸受を用いることで世界最小クラスのパッケージングを実現した」(村田氏)という。2016年から量産を始める計画だ。

RP-EPSの構造
RP-EPSの構造(クリックで拡大) 出典:ジェイテクト

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