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電動パワーステアリング世界トップシェアは譲らない、ジェイテクトの戦略とはクローズアップ・メガサプライヤ(1/3 ページ)

電動パワーステアリング(EPS)で世界トップシェアを握るジェイテクト。同社は、EPSの世界トップシェアを維持するため、「上流から下流へ」向かうという事業戦略を展開している。

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 ジェイテクトは、2006年1月に光洋精工と豊田工機が合併して発足した企業である。電動パワーステアリング(EPS)に代表される自動車部品の他、各種産業の要素部品として供給する軸受、そして工作機械といった事業から成り、2014年度(2015年3月期)の連結業績は売上高が前年度比7.6%増の1兆3559億9200万円、営業利益が同27.4%増の741億5400万円などとなっている。

 同社を自動車業界におけるメガサプライヤたらしめているのがステアリング事業だ。2014年度の同事業の売上高は6477億円で連結売上高の約48%を占める。

 自動車のステアリングは、ドライバーの操作をアシストする駆動力源ごとに、モーターを使うEPSと、油圧を用いる油圧式パワーステアリングに分かれる。ジェイテクトは、EPSと油圧式、両方を足したステアリングの世界シェアで26%(2013年)とトップに位置する。

 この数字を支えているのは、近年乗用車向けで急激に採用が拡大しているEPSである。ジェイテクトのEPSの世界シェアは31%で圧倒的トップ。ステアリング事業の成長をけん引しているのはこのEPSなのだ。

2013年の世界全体のステアリング市場規模とジェイテクトのシェア
2013年の世界全体のステアリング市場規模とジェイテクトのシェア。ステアリング全体で26%、EPSで31%に達する(クリックで拡大) 出典:ジェイテクト

 そこで、同社のEPS事業の戦略や開発体制について、前後編に分けて紹介する。前編で扱うのは「上流から下流へ」向かうという事業戦略である。

⇒後編記事「自前のテストコースとISO26262対応が電動パワーステアリング開発に必要な理由」はこちら

1988年に世界初のEPSを開発

 ジェイテクトは世界初のEPSを開発したことで知られる。1988年に、スズキの軽自動車「セルボ」の3代目モデルに採用された、コラムアシスト式EPS(C-EPS)が世界初のEPSとなる。当時は、エンジンを動力源とする油圧パワーステアリングが主流だったが、エンジンルームに空きスペースの少ない軽自動車にパワーステアリングを搭載できるように開発したのがC-EPSだった。

 その後、自動車の環境対応や低燃費化のトレンドもありEPSの採用は着実に拡大していく。2000年代に入ってからその傾向は顕著で、2013年のEPSの世界市場(生産台数ベース)は4266万台で、ステアリング全体の2013年の市場規模8324万台の半分を超えた。

ジェイテクトにおけるEPS事業の沿革
ジェイテクトにおけるEPS事業の沿革。製品投入時期や生産台数、自動車やステアリングの技術動向などが示されている。2000年代以降、生産台数が一気に増加していることが分かる(クリックで拡大) 出典:ジェイテクト

 この4266万台のうち31%を占めるジェイテクトだが、現時点で同社が最も得意とするEPSは先述したC-EPSである。C-EPSだけに限れば、2013年の世界シェアは41%に達するという。

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