自動車業界にもアップルとフォックスコンのような完全水平分業の時代が来る?:クルマから見るデザインの真価(4)(4/5 ページ)
自動車の開発に必要な部品や素材、それらに関する技術開発の動向を見ることができる展示会「人とくるまのテクノジー展」。2015年の同展示会でプロダクトデザイナーの林田浩一氏が感じたのは、メガサプライヤの存在感の大きさだった。今後、メガサプライヤと自動車メーカーの関係はどうなっていくのだろうか。
ホイールにも採用される炭素繊維強化樹脂
さまざまな展示の中でいよいよ出てきたかと感じたのが、ムベアカーボテックで展示されていたCFRPホイールである。筆者が仕事で関わりのあるホイールメーカーの方と話をしている中でも、CFRPのホイールは時々話題になるが、これまではまだ具体的な商品としてのイメージは希薄な印象だったが、いよいよ来たかと感じた次第(BMWも「iシリーズ」用にCFRPホイール開発中とのアナウンスをしている)。
ムベアカーボテックのものは、CFRPホイールといってもCFRPなのはリム部のみ(RTM工法製)、意匠性も求められるディスク部は鋳造や鍛造のアルミ合金製で両者をチタンボルトでリムの裏側から締結する2ピースホイールの構造を採る。CFRPのリムはRTM工法で作られている。説明してくれた担当の方からは詳細をあまり教えていただけなかったが、エア漏れや耐衝撃性能なども問題なく、2016年からドイツメーカーでの採用(BMWのiシリーズなのか、他の完成車メーカーなのか、もしくはホイールメーカーなのかは不明)が決まっているとのことであった。
他の樹脂素材について目についたものとして、材着塗装レスで意匠性の高い樹脂が増えてきてるように感じる。スズキの「ハスラー」のインパネで、三菱ケミカルホールディングス製の樹脂で材着ながら発色性がいい樹脂部品を初めて見たときに、塗装レスでもここまで大きな部品でも耐えられる質感のものが作れるのか感心した記憶がある。今回の会場でも樹脂メーカー各社のブースでは、塗装レスでメタリック調やピアノブラックを成型できる樹脂が見られた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.