検索
特集

IoT標準化における半導体メーカーの攻防家庭内IoT標準化を巡る動向(後編)(2/3 ページ)

前編では「Nest」を活用し、スマートホーム市場のプラットフォームを狙うGoogleの戦略について解説した。後編ではGoogleのもう1つのアプローチ方法を紹介するとともに、相次いで登場したスマートホーム分野でのライバルの動向について解説する。

Share
Tweet
LINE
Hatena

急速な追い上げを見せ始めた後発のIntel

 一方のIntelは、SamsungやBroadcomらと共に2014年7月、「Open Interconnect Consortium(OIC)」を立ち上げた。OICはPCやスマートフォン、家電、ウェアラブル機器などさまざまなデバイスを相互接続させる規格・仕様と、認証技術を提供するために設立された標準化団体で、スマートホームを足掛かりとして最終的には自動車やヘルスケアといった業種業界へも拡大していくとしている。

 発足後、なかなかその活動状況が見えてこなかったOICだが、2014年12月にようやく初の取り組みとなる「IoTivity」を発表した。IoTivityは、Linux Foundationのプロジェクトの1つで、シームレスかつセキュアなデバイス間通信を実現するためのオープンソース・ソフトウェア・フレームワークである。

photophoto 2015年1月のCESでOICに関する展示は見られなかったが、MWCではIntelとTizenのブースで展示が行われていた。OICに対応した製品がないため、概念のみの展示に留まる。ただ、IoTivityコーナーには常に来場者が説明を聞いているなど関心の高さが伺えた(MWC 2015 Tizenブースにて筆者撮影)

 筆者はQualcommと同様にMWCにおいて、Intelの担当者にAllSeenとの違いについてインタビューした。担当者によればIoTivityは「仕様(Specification)」と「レファレンス実装(Reference Implementation)」を提供している点、そしてよりオープンでロイヤルティーやIPR(知的財産権)を意識せず、様々な機能を利用できる点を挙げていた。なお、2015年3月時点で約95%の完成度であるとしていた。

 また、OICは2015年11月をメドにCertification Programの開設を予定しているが、現在、それを9月に早めようと動いているそうだ。それは、数ある標準化団体の中で後発のOICには対応製品がないことが課題となっているからだ。前編で紹介したWorks with Nestは実際に利用可能なソリューションとして既に展開されており、また、AllSeen Allianceも参画企業の増加により対応製品が急激に増えてきている。OICは2015年中に対応製品を市場に投入することを目指しており、そのためにも認証プログラムの早期立ち上げは必須と考えているからだ。

 さらにOICの取組は団体内にとどまらない。2015年2月に米GEが主導する産業機器向け標準化団体「Industrial Internet Consortium(IIC)」と、そして同年3月には欧州のスマートホームやスマートグリッドに特化したIoT標準化団体「EEBus Initiative」との提携を相次いで発表している。Intelは兼ねてより自社のOICに対する取り組みについて、IoTの成功はデバイス同士がシームレスに通信することであり、単一の規格をもって主導権を取る事ではないことを強調しているが、この提携の動きは正にそれを証明したものといえる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る