2次元から3次元、そして“その先”へ ―― オートデスクが示す「ものづくりの未来」:DMS 2015 特別企画
「第26回 設計・製造ソリューション展(DMS 2015)」において、オートデスクは「The Future of Making Things ―ものづくりの未来―」をテーマに、同社の先進的な取り組みや最新事例、機械設計向け3次元CAD「Autodesk Inventor」の最新バージョンによる機能強化ポイントなどを紹介。先進ユーザが登壇する「トークショウ」を1日1回開催する他、ブース内に3次元CAD導入に関する相談コーナーも設け、日々の課題解決のヒントを提示する。
国内最大規模の製造業向けITソリューション展「第26回 設計・製造ソリューション展(DMS 2015)」(会期:2015年6月24〜26日、場所:東京ビッグサイト)に出展するオートデスク。今回、同社は「The Future of Making Things ―ものづくりの未来―」というメッセージをブースコンセプトに掲げ、“今、そして未来のものづくり”に役立つ製品・技術情報を来場者に向けて発信する。
ご存じの通り、近年ものづくりの世界では、3Dプリンタの普及・活用やソーシャルコミュニティーの活性化、クラウドコンピューティングの進化など、さまざまな事象が絡み合い、化学変化を起こしながら製造業に大きな変革をもたらそうとしている。
オートデスクでは、こういった変化の流れにいち早く応えるべく、研究機関を設立し、新たなテクノロジーを活用した製品開発やさまざまな技術研究などを行っている。そして、こうした次世代へ向けた先進的な研究開発とともに、オートデスクは世界で初めて自動車の車体を3Dプリンタで出力した米Local Motorsへの技術協力を行ったり、ものづくりスペースを運営する米TechShopやオープンコミュニティーを生かした製品づくりを進めるスタートアップ企業の米Quirkyの創立者たちとも積極的にコラボレーション行ったりしながら、トレンドをリードする取り組みを次々と進めている。
DMS 2015のオートデスクブースでは、こうした先進的な取り組みの一部を見聞きすることができる。
より使いやすく進化を続ける機械設計向け3次元CAD「Inventor」
オートデスクのブースでは、機械設計向け3次元CAD「Autodesk Inventor」の最新バージョン「Inventor 2016」と、その関連ツールの展示も見逃せない。
2次元CADと3次元CADのより高度でスムーズな連携を実現すべく、Inventorとその上位版である「Autodesk Inventor Professional」は、日々進化を続けている。「3次元CADのメリットとして、干渉チェックや重心計算が行える点などがよく挙げられるが、Inventorをお客さまにご案内して、一番驚かれるのは3次元での構想設計だ」と、オートデスク 技術営業本部 製造アカウント エンジニアマネージャーの加藤久喜氏は語る。Inventorであれば、これまでポンチ絵などの手描きスケッチで行っていた構想設計を、3次元ツール上で簡単に行える(図1)。2次元CADの情報を2次元のままInventorの3次元CAD空間に取り込むことで、さまざまな角度からレイアウトや配置、機構などを検討でき、効率的な構想設計が可能となる。
「Inventor 2016」ではDWGファイルの「参照」も可能に
現状、2次元CADで行っている作業を、全て3次元CADに置き換えなければならないのだろうか? この疑問に対し、加藤氏は「当然、2次元CADで効果が出ることや、2次元CADの方が効率の良い作業もある」と説明する。その代表が、ユニットや装置のレイアウト設計だ。
こうしたレイアウト設計のニーズに対し、従来のInventorでは、AutoCADのDWGファイルを「変換」オプションによって取り込み、その取り込んだ2次元データに対して設計を加えることができた。しかし、オリジナルの2次元データ側で設計変更が発生した場合、Inventor側にその変更が反映されないことから、最新バージョンのInventor 2016からは、従来の「変換」に加え、「参照」オプションが選べるようになった。
「DWGアンダーレイ」でAutoCADのDWGファイルを挿入すれば、元データのDWGジオメトリが更新されるとInventor上のモデルもそれに併せて更新される。「このDWGファイルの『参照』は、ユーザからの要望が特に多かった機能の1つだった」と加藤氏。この機能により、常に最新の状態を維持でき、オリジナル側で設計変更があった場合でも更新漏れなどのミスを防ぐことができるようになった。この機能は既存2次元データを活用した3次元モデルの変更時にも機能する。
「Inventor 2016」ではマルチCAD連携がもっと便利に
オープンイノベーションといった新しい開発手法がトレンドになる中、自社リソースだけで全てを設計するのではなく、他社が設計したデータを取り込みながら同時進行で1つの製品開発を進めていく場面が増えている。その際、設計で使用する全てのCADツールを同じものに統一するのはおそらく不可能だろう。そこで役に立つのが「マルチCAD対応機能」だ。「従来バージョンのInventorにもマルチCAD対応機能があり、非常に精度も良く好評な機能の1つだった。しかし、『変換』が必要で元データとリンクが切れてしまうのが欠点だった」(加藤氏)という。
最新バージョンのInventor 2016ではマルチCAD対応機能がより進化し、他社CADのデータを「参照」の形でInventor上に取り込めるようになった(図2)。これにより、複数の設計元で作成されたデータをInventor上で確認可能となり、かつ変更などが発生してもその情報を随時反映できるようになった。そして、ユーザにとって何よりもうれしいのは、「より強化されたマルチCAD対応機能は、Inventor 2016の標準機能として提供されているので、追加コストが掛からない」(加藤氏)ことだろう。
さらに、取り込んだ設計データを変更しなければならないシチュエーションもあるだろう。Inventorでは、モデリング手法として「パラメトリック」「ダイレクトモデリング」「フリーフォーム」の3つが用意されるが、これらもユーザの要望を反映しながら進化している。例えば、ダイレクトモデリングはマルチCAD対応機能で取り込んだデータに利用でき、フリーフォームは粘土のように直感的に最小限の手数で形状を作ることができるため、意匠性を持った製品などの設計に最適だ(図3)。
2次元図面への落とし込みや3Dプリンタ連携もさらに強化
3次元CADを使っていても、設計モデルは最終的に2次元図面として出力される。そのため、「3次元CADを初めて使う際、2次元図面への落とし込みに適した思い通りのビューを作ることがハードルの1つになることがある」(加藤氏)。
そこで、Inventor 2016では、3次元モデルを回転させる「ビューキューブ」を2次元図面でも使えるようにした。一度作ったビューも、ビューキューブを回転させることで適切なビューに切り替えることができる。また、3次元空間で回転させて、任意の角度のビューをそのまま2次元図面に落とし込みたい場合もあるが、「Inventor 2016であれば、3次元空間上で目的のビューを作ることでダイレクトに2次元図面に落とし込める」(加藤氏)。
さらにInventor 2016では、3Dプリンタへの出力もより簡単になった。従来バージョンのInventorでも作成した3次元モデルをSTLファイルに書き出すことはできたが、Inventor 2016では何とダイレクトに3Dプリンタへ出力できるようになった。その際、3Dモデルのスケール変更や印刷領域に収まらない場合の自動分割、分割の際のダボの突起と穴形状の作成なども行われ、サポート材についても独自技術により、最小限のサポート形状を自動で作成できる。こうした3Dプリンタとの連携機能の強化は、同社の3Dプリンタ「Ember」や3Dプリンタ用オープンソーステクノロジ「Spark」などの研究開発の成果が存分に反映されている部分だ。
2次元も3次元もまとめて管理
3次元CADを導入する場合、2次元CADから3次元CADへいきなり切り替えるのではなく、徐々に移行していったり、ずっと同時並行で使用したりするケースが多いだろう。そういった環境にも適用できるのが、CADデータ管理ソフトウェア「Autodesk Vault」だ。「日本の製造業では、2次元CADの歴史の中でBOMの運用法が各社の中で突き詰められており、それを踏襲しながら新ツールを入れていく必要がある。そういった中で、Vaultは2次元CADと3次元CADを同時に1つの製品BOMとして管理することができる」(加藤氏)。当然、先に紹介した参照されたDWGや他社CADファイルも関連ファイルとして管理の対象となる。
また、3次元CADを使用する大きなメリットとして、「解析」が行えることが挙げられる。上位版のInventor Professionalでは実績のある有限要素法の構造解析CAEや機構解析が行える。そして、より高度な解析を実行したい場合には「Autodesk Nastran In-CAD」を使用することもできる(図4)。Nastranは言わずと知れた有限要素法解析の構造解析ツールで、非線形解析や熱解析などが行える。Inventor中で信頼性の高い構造解析が行えるというのは大きなメリットといえるだろう。
2次元+3次元、マルチ3次元CAD環境の実現のヒント
ここまでInventor 2016の強化ポイントを中心に紹介してきたが、一言で「3次元CADを導入する」といっても、実際の設計現場では2次元CADや他社CADとの連携は欠かせない。そこで、DMS 2015におけるオートデスクのブースでは、2次元CADと3次元CADの連携を行う際に出てくる課題が記載されたチェックシートを配布し、来場者の環境や課題を踏まえたアドバイスが受けられるコーナーを設置する。
さらに、ブース内のメインステージでは、Inventorのユーザが登壇し、日ごろ生じている課題やその解決方法など、“現場の生の声”をトークショウ形式で紹介する。3次元CAD導入のイメージを知りたい人はもちろんのこと、2次元CADから3次元CADへ移行したい人、過去3次元CADを導入しようとして失敗してしまった人、また複数の3次元CADを扱う必要がある人などにとって、無理なく3次元CADを導入・活用するためのヒントを得ることができる。
ほかにも、「The Future of Making Things ―ものづくりの未来―」コーナーでは、レノボ・ジャパンの協賛により、CAD on VDIのステージが1日2回予定されていたり、統合型三次元 CAD/CAM ソリューション Autodesk Inventor HSM 、Autodesk VRED ビジュアライゼーションソリューションの展示など、Inventor を中心とした、設計・デザインソリューションがみられるブース構成となっている。
オートデスクブース 協賛企業
SCSK株式会社
レノボ・ジャパン株式会社
株式会社大塚商会
株式会社ボーンデジタル
クボタシステム開発株式会社
株式会社システムクリエイト
(順不同)
DMS 2015におけるオートデスクのブースでは、同社の最先端の取り組みや、Inventor 2016とその関連ツールなどを通じて、今後ものづくりのプロセスがどのように変化し、それに併せてものづくりに対する考え方やツールがどのように進化していくのかを理解することができる。また、こうした未来のものづくりに対する視点に加え、ユーザ視点に立った課題解決のヒントになる企画も充実している。オートデスクのブースを訪れれば、今、そして未来のものづくりに役立つ“生きた情報”を必ずや得られるだろう。
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アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2015年6月25日