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CNCフライスを動かすために使うものあれこれママさん設計者がやさしく教える「CNCフライス超入門」(2)(1/2 ページ)

ファブレスメーカーのママさん設計者がCNCフライスの特長や魅力、使い方を分かりやすく解説する連載。第2回はCNCフライスを動かすにために必要な物について説明する。

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 モノヅクリストの皆さん、こんにちは! 前回は、CNCフライスをもっと身近に感じて頂きたくて、「CNCフライスとは何か?」そして「3Dプリンタとは何が違うのか?」というお話をさせていただきました。

 今回は次のステップとしてCNCフライスが動く理屈を覚えていただきたく、「CNCフライスを動かすには何が必要なの?」をお題にお話していきます。ちょっとした専門用語もポツポツ出てきますが、難しく感じないように“ゆるっと”ご説明していきます。

 CNCフライスが動くために必要な物はいろいろあります。まずこれらをリストアップしてみましょう(図1)。


図1:CNCフライスが動くために必要な物

 分かりやすく図にすると、ざっとこんな感じです(図2)。


図2:CNCフライスが動く環境

 何だか「あれも買い……、これも買い……」と、出費もそれなりにかさみそうですよね。特別ケチな人じゃなくてもこのご時世ですから「なるべく出費を抑えたい」と思うのは常ですし、ましてや初心者さんの場合は「お金をかけた分だけ、ちゃんとCNCフライスを使いこなせるかな?」という心配もついて回ると思います。それも常です。ただ、後々のトラブルを最小限にする意味でも必要な出費は惜しまない方が賢明です。特にCNCドライブ基板とCNCソフト。この2つは、CNCフライスの駆動の要ですからケチらない方がよいです。そして稼働実績が多く、海外製のものでも日本語のサポートが受けられるものを選ぶのがベストですね。

 それでは早速、それぞれの説明をいたしましょう。

CNCフライス本体

 本連載で扱うCNCフライスはその構造上、切削にパワーを要する鉄やステンレスなどの加工には不向きですが、アルミ、プリント基板、樹脂全般、木材、ケミカルウッドなどの加工で重宝がられ、市場には実にたくさんの機種が出回っています。そこで機種選定の前に、「何を削って何を作りたいか」を考えましょう。その上で、加工できるサイズを調べて適した機種を選びます。

 加工できるサイズを知るには、その機種のX・Y・Zそれぞれの動作ストロークを調べれば見当がつきます。よく使われているのは、(X)200mm、(Y)300mm、(Z)50mm程度のもので、これだけの加工エリアがあれば、ちょっとした看板も作れますね。

 各社、外観に大きな違いがなくても使われている部品に差があるなどの理由で、本体価格はさまざまです。メーカーによっては本体だけでなく、後述するCNCドライブ基板までセットになったお買い得な機種もあります。もちろん日本製がオススメですが、海外製でも日本の輸入業者がサポート代行をしてくれる機種であれば購入後も比較的安心して使えますから、価格だけでなくトータルで賢く判断しましょう。

制御用PC

 意外にも、大してお金をかけずに済むのが「制御用PC」です。制御用などと言ってしまうとつい敏感に反応してしまい、「機械を制御するんでしょ? だったら、最新でハイスペックな新品PCを買わなくちゃ!」と思いがちですが、それには及びません。PCの年式やスペックよりも、これにインストールする「CNCソフト」や接続するドライブ基板との相性が肝心で、それらが動作保証するPC環境はというと、「OSはWindows2000から7までの32bit。CPUはPentium4以上の1〜1.5GHzでメモリは1GB。HDDの空きスペースは500MBくらいで〜」とうたったものが多く見受けられます。つまり、中古PCの方が都合がいいのです。中古の利点はもう1つあります。この制御用PCに接続するCNCドライブ基板は、大抵がインタフェースにパラレルポート(プリンタポートとも言います)を採用しています。従ってPC側にもパラレルポート(プリンタポート)がないと接続できません。

 ところが最近のPCは周辺機器のほとんどがUSB接続になったため、かつて当たり前に装備されていたパラレルポートはすっかりオワコンと化しました。この無慈悲な現実に「USB-パラレル変換器」で対抗したいところですが、複数に並んだデータを同時に(並行に)送信できるパラレルポートの利点がUSB変換によって損なわれてしまいます。これはCNCフライスにとっては大変不都合なので、パラレルポートがない場合は自分でカードを入れてポートを増設するしかありません。しかしそれは手間と出費を増やすことになりますから、パラレルポートを持っているお手頃な中古PCを調達するのが手っ取り早いのです。

 なお、以前はデスクトップPCが推奨されていましたが、最近はノートPCでも問題なく使えることが分かってきました。ただし経験上、ノートPCを使う場合に気をつけたいことがあります。それはノートPC特有の「省電力機能」です。これが生きている間はポートからの電圧に変動が起きて制御に影響を与えます。なので、ノートPCを使う場合は、電源にはACアダプターを使い「省電力機能」は無効にしましょう。そして、デスクトップPCでもノートPCでも一番大事なのは、これを“専用機”にすることです。PCとて人間と同じようなもので、同時に複数の仕事を行うと気が散ってしまい(能力が分散してしまい)、それが出力信号に影響を与える原因になってしまいます。なので、ネットワークからは遮断し、常駐するセキュリティソフトやユーティリティーソフト、不要なアプリケーションは極力削除しましょう。こうしてCNCフライスのためだけに働く忠実な下僕(しもべ)にするのです。

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