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3DプリンタとCNCフライスの違いって何?ママさん設計者がやさしく教える「CNCフライス超入門」(1)(1/3 ページ)

ファブレスメーカーのママさん設計者がCNCフライスの特長や魅力、使い方を分かりやすく解説する連載。第1回は3DプリンタとCNCフライスの違いについて説明する。

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CNCフライスとは?

 全国の“モノヅクリスト”の皆さんはじめまして! Materiai(マテリアル)工房テクノフレキスの藤崎と申します。当社では、主に電子部品の開発工程や生産工程をサポートする治具設計、筐体設計、製品試作サポートなどをしています。私はモノづくりの傍らで子育てもしてきた「ママさん設計者」です。

 テクノフレキスは、自社生産設備を持たない「ファブレスメーカー」というスタイルなので、設計をデータ納品するのではなく製品を製作して納めています。製作にあたっては部品加工の大半をアウトソースしていますが、精密さを求めない一部の部品は社内の小型CNCフライスを使って内製することがあります。そしてどうやら私は、この“CNCフライス”という機械への思い入れがちょっと強いようです。“切削オタク”と言ってもいいでしょう。ただの材料の塊が、回転する刃物と触れ合ってさまざまな音色を奏でながらどんどん変身していく様子は、見ていて楽しく心を奪われます。まさに切削加工とは、材料と刃物が織りなす“造形ドラマ”だと思うのです。

 さて本連載『ママさん設計者がやさしく教える「CNCフライス超入門」』では、「CNCフライスとは何?」「CNCフライス加工に必要なものは?」「CNCフライスを使ってみよう」といった内容で、CNCフライスの特長や魅力を分かりやすく解説しながら、皆さんが実際に加工が出来るようになるように全6回でアドバイスさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

3Dプリンタもいいけど、CNCフライスもね!

 「造形」といえば、複雑な形状もラクラク造形できるという触れ込みで、最近は3Dプリンタがブームですよね。ブームになったということはモノづくりの裾野が広がりを見せているということですから、これは喜ぶべきことでありましょう。

 そういえば、私が3Dプリンタ的なものと初めて出会ったのは、2003年ごろになります。まず、UVレーザで樹脂を硬化させる光造形機、次に紙積層式と呼ばれる物、そして粉末焼結式の物――いずれも「ラピッドプロトタイピング装置」と称されていました。当時は「こんな機械がボール盤や卓上フライス盤みたいに家庭で使える日が来るのかな……。フフン、まさかね」と思っていたのですが、特許が切れて間もないころ(2010年くらい)に、海外製の熱溶解積層式(FDM方式)の小型3Dプリンタを借用する機会がありました。そのスペックに驚きつつ2カ月ほど使いまくり、切削とは別の世界を楽しみました。そこから時を経て、今では家電量販店でも購入できるほど価格もこなれて機種も増え、3Dプリンタはかなり身近な存在となりましたね。

 しかし、やっぱり“切削オタク”としては、それ以前から存在している「デスクトップ型CNCフライス」をあらためて推したいのです。

 特に、売れ筋の3Dプリンタとサイズをほぼ同じくするデスクトップ型CNCフライスは既に国内で10年以上の歴史があり、その登場によって当時のモノヅクリストに革命をもたらしたと言っても過言ではありません。それなのに、これまでその存在があまり大きく取り上げられなかったことが不思議なくらいです。

 デスクトップ型CNCフライスが加工できる材料は、金属、樹脂、木材と幅広く、使い方次第で3次元形状も削り出せます。愛用者のコミュニティも方々で充実しており、まさに先駆者と言えるでしょう。ただ、歴史がある分、マニアも多いので、「使ってみよう」とネットで情報を取り寄せてはみたものの、「すごく勉強しないと使えそうにない」と考えてしまい、興味はあるのにイマイチ手が出せない人も多いのではないでしょうか。この連載が、そんな皆さんのお力に少しでもなれば幸いです。

※本連載では「デスクトップ型CNCフライス」を「CNCフライス」と表記します。

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