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初飛行を延期するMRJ、生産体制は大丈夫か:半世紀ぶりの国産旅客機の実現へ(4/4 ページ)
三菱重工業とMRJの設計開発を担う三菱航空機は開発状況について説明を行い、初飛行を2015年9〜10月ごろに延期すると発表した。ただ、初号機の納入時期は変更せずに維持した。“納期維持”を実現する量産体制はどのように構築するのか。
後発となるMRJの武器とは
MRJが参入を目指すリージョナルジェット機市場は今後の拡大が期待されている。リージョナルジェットとは、座席数が約50〜100程度、航続距離が2000〜3000kmの小型旅客機のことで、大・中型のジェット機と比較して低燃費かつ低騒音という特徴がある。さらに短い滑走路でも離着陸が可能であることから、これまでにない航路の開拓や地域間輸送などの比較的短い航路への利用に最適な旅客機としてニーズが高まりつつある。
日本航空機開発協会(JADC)が行った調査によれば、100席以下のリージョナルジェット機は2013年末時点で世界で3435機が運航されていたが、2033年には4328機まで増加するという。さらに退役する機体を考慮した場合、2033年までに新規納入される機体数は3508機になると予想している。
リージョナルジェット市場は、既にカナダのボンバルディアやブラジルのエンブラエルなどの先発組がほぼ寡占している。後発となる三菱航空機がMRJの武器として掲げているのが、従来の同型ジェット機と比較して20%以上優れているという燃費性能や機内の快適性だ。その実力をアピールするためにもいち早い初飛行の実現が待たれる。
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