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初飛行を延期するMRJ、生産体制は大丈夫か:半世紀ぶりの国産旅客機の実現へ(2/4 ページ)
三菱重工業とMRJの設計開発を担う三菱航空機は開発状況について説明を行い、初飛行を2015年9〜10月ごろに延期すると発表した。ただ、初号機の納入時期は変更せずに維持した。“納期維持”を実現する量産体制はどのように構築するのか。
主翼は兵庫と愛知、小型部品は三重で
MRJ1機当たりの部品点数は約100万点。各部品の製造は三菱重工業が持つ複数の工場を連携させて対応する。航空機のシンボルともいえる主翼は、神戸造船所(兵庫県神戸市)で一貫生産した部品を、名古屋航空宇宙システム製作所 飛島工場(愛知県海部郡)で組み立てる。その後完成した主翼が小牧南新工場に送られるという流れだ。なお、飛鳥工場では胴体部分の組み立ても行われる。
小型部品の製造と尾翼の組み立ては松阪工場(三重県松阪市)が担う。同工場では2015年4月1日に板金加工、機械加工、自動車部品メーカーなど9社が参加する「航空機部品生産協同組合」設立。航空機部品の製造に関する高精度な加工技術および品質管理と、高速加工や物流管理といった自動車の量産技術を融合させる狙いだ。各社の持つ設備の共同利用やロジスティクスの効率化を行い、松阪工場を航空機部品の高い生産能力を持つ一貫生産工場として運用していく。
中・大型部品の板金や機械加工は大江工場(愛知県名古屋市)が担う。MRJのエンジンには米プラット・アンド・ホイットニー製のエンジン「PW1200G」を使用することが発表されているが、この組み立て作業は三菱重工航空エンジンの施設内で行われる予定だ。
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