ホンダが3モーターハイブリッドの「レジェンド」で目指した“走りへの夢”:今井優杏のエコカー☆進化論(17)(1/4 ページ)
ホンダのフラッグシップモデルとなる高級セダン「レジェンド」は、3モーターのハイブリッドシステム「SH-AWD」を搭載している。新型「NSX」にも搭載される、このSH-AWD、1モーターの「i-DCD」や2モーターの「i-MMD」とは一味違うものになっている。
そろそろ水素の話? と思いきや……
さてさて、前回はトヨタおよびレクサスのハイブリッドシステムのお話をしましたけれども、ここにきてまたも強力なハイブリッド車が誕生しちゃいましたよ。そしてこれがまた、「え〜、またハイブリッドの話? そろそろ水素の話でもしてよね」なんていう読者諸兄の期待をいい意味で裏切る(……かもしれない)、面白い完成度とロジックでしたので、ご紹介したいと思います。
それがホンダのフラッグシップモデルとなる高級セダン「レジェンド」に搭載された、世界初となる3モーター式のハイブリッドシステムです。これで「フィット」に搭載される小型の1モーター式、「アコード」搭載の2モーター式、そして今回の3モーター式と、ホンダには合計3つのハイブリッドシステムのラインアップが出そろいました。
ところで、ホンダといえば最近は“軽ミッドシップオープンスポーツ”という、クルマ好きが泣いて喜ぶウリ文句を往復ビンタがごとく畳み掛けるように並べ、ニクイくらいに消費意欲を煽りまくる最新モデル「S660」にすっかり話題をさらわれている感が否めないのですが(そして無論これもとても楽しいクルマであることは間違いないんですよ!)、悲しいかなその陰に隠れてしまった感アリアリなのがレジェンド。いや世界初の技術を公開しておいてこの日陰感はあまりにさびしいでしょ。
「レジェンド」みたいなオジサンセダンなんて考えるのはMOTTAINAI!
しかし、ですよ。それこそ日本人のハイブリッド慣れ、ハイブリッドにスレてしまったマインドにそのドライな反応の理由が隠されているような気がしてなりません(前回記事参照くださいませ)。でも今回の3モーター式ハイブリッドを「あ、そうなんだハイブリッドなんだ、どうせレジェンドみたいなオジサンセダンに搭載されるのなんて、モタ〜っとした出足の燃費重視のヤツなんでしょ」なんて鼻白むのは非常にMOTTAINAI!
この3モーターハイブリッド、実は、近く復活が囁かれているホンダ伝説のスポーツカー「NSX」にも搭載される、ホンダ肝いりのスポーツハイブリッドシステムなのです。
NSXに先駆けてレジェンドに搭載されましたが、それだって「もしかしたらデータ採りのためにあえて人柱として先にレジェンドに載せたのか」、「レジェンドで話題になりすぎたら困るから、あえてS660を同時期にリリースして存在感をぼんやりさせたのか」などと、ひねくれた私がうがった見方をしてしまうほど、楽しくて気持ちよく、かつ完成度の高いものでした。先に結論から言えばこのハイブリッド、今度出てくるNSXのスポーツカーとしての動力性能を十分に期待させてくれるほどのキレ味鋭い仕上がりだったのです。
さらに言うならホンダらしいデザインも攻め感ゴリゴリで、エクステリアの若々しさはヤングエグゼクティブあたりにもウケそうなイメージ。オジサンセダンなんてとんでもない、イケイケドンドン(古)な仕上がりなんですよ。攻めた走り×攻めたエクステリア、ええやん! ってなっちゃいました。
個人的にはもう少しひとひねり……例えばメルセデス・ベンツの「Sクラス」あたりに装備されている室内のカラーアンビエントライトとか、シートのキルティングステッチのパターンにもう少し特別感を持たせるとか、競合セグメントと戦えるのはそういう一見無駄なような高級感への味付けがセダンとしては不可欠だと思うのですが、その辺だけもうちょっと「がんばりま賞」だったと思うんですけどね。走りがイイだけにちょっとそれこそ、MOTTAINAI気がします。
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