フラワー・ロボティクス、「RoboCup 2015」のグローバルパートナーに:ロボット開発ニュース
フラワー・ロボティクスは2015年7月に中国にて開催される「RoboCup 2015 International Competition & Symposium」のグローバルパートナーに就任した。また、今大会より新設されるデザインアワードのサポートもあわせて行う。
フラワー・ロボティクスは2015年4月16日、同年7月に中国にて開催される「RoboCup 2015 International Competition & Symposium」のグローバルパートナーに就任したと発表した。また、今大会より新設される「RoboCup Design Award」のサポートもあわせて行う。
RoboCup(ロボカップ)は「2050年にサッカーの世界チャンピオンチームに勝利する自律型ロボットのチームを作り上げる」ことを目標として、1997年より開催されているロボット競技会。現在ではサッカー競技だけではなく、災害対策(ロボカップレスキュー)や家庭内での応用(ロボカップ@ホーム)、子どもを対象としたカリキュラムの提供(ロボカップジュニア)など、幅広いプログラムが用意されている。
ロボカップでは競技成績を競うだけではなく、競技の課程で得られた技術を実産業へ転用することも大きな目的となっている。フラワー・ロボティクスの松井龍哉氏は自身もロボカップに参加経験があり、また、同社としても「Patin(パタン)」によるロボットの実用化を目指していることから、RoboCupのグローバルパートナー就任へとつながった。
Design Awardはロボットの外観(スタイリング)を評価するのではなく、「レギュレーションの中でシンプルかつアイデンティティーの伝わる設計をしているか」(松井氏)が評価対象となる。こうしたアーキテクチャ部分に加え、ロボットとして機能を満たせるかという観点から、「壊れにくい」「修理しやすい」など実運用面への配慮も評価される。
グローバルパートナー就任に際して松井氏は「ロボットエンジニアリングの最高峰大会であるロボカップを支援することで、ロボット分野で活躍するエンジニアや組織への注目度を上げ、人材と資金がロボット業界に流れてくる循環を作る一助になることと目指します」とコメントしている。
ロボカップは1997年の開始以来、順調にカテゴリ数と参加チーム数を増やしており、いまでは1年間で400チーム(全カテゴリ合計)近くが参加する大規模な協議会となっている。注目すべきは若年層の参加数増加で、ここ10年近く、過半数がジュニアクラスへの参加となっており、ジュニアクラス参加経験を持つ技術者がロボカップサッカーなどのクラスにエントリーするケースも増えている。
主催団体であるRoboCup Federationにて、Presidentを長く務めた(2002年〜2008年)浅田稔氏(大阪大学教授)は「ロボカップはチーム戦なので、チームメンバーと力を合わせないと勝ち進めない。そして力を合わせても困難な事態には遭遇する。チームで取り組むことと困難を克服する精神力、いずれも参加者には貴重な経験となる」と若年層への教育効果からも効果的であるとし、加えて、「ロボットは世の中に出していかないと価値を判断してもらえないし、失敗しても世の中に出していかなければならない。“ロボットの産業化”いう意味でも、ロボットを世の中に出していく取り組みは続けなくてはならない」と、継続していくことの意義を強調した。
RoboCup 2015 International Competition & Symposium」は2015年7月13日〜23日、中国・合肥市にて行われる。
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