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「悪いバグ」のケーススタディ(バグの少数例)山浦恒央の“くみこみ”な話(72)(3/3 ページ)

筆者の研究室で、ゲームに見られるバグの「悪いバグ」をさらに分類したところ、大きく分けて13種に分類できました。上位6種で75%を占めますが、今回は悪いバグの「少数派」について説明していきます。

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7. パフォーマンス系

 パフォーマンス系は、「フレームレートが極端に落ちる」「大きな負荷がかかるとフリーズする」などのゲーム内の負荷にまつわる不具合のことです。

 ゲーム内の処理に大きな負荷がかかる場合があります。例えば、敵が大量にいるところを通り抜ける場合です。その際、処理が追いつかず動作がギクシャクすることがあります。皆さんも経験をお持ちではないでしょうか。

 フレームレートの不具合は、最悪の場合フリーズに発展します。報告例でも、少ないながら、フリーズが報告されています。開発者側からすると嫌な部分でしょう。

8. ハードウェア系

 ハードウェア系とは、「ゲームが正しく起動/終了できない」「ハードウェアのバージョンによっては、正常動作しない」などのゲームの起動/終了に関連した不具合のことです。バグ数全体から考えると多くはありませんが、少なからず報告されています。ハードウェア系の2つの代表的なバグを以下で解説します。

  • 8.1 ゲームが正しく起動/終了できない」

 この不具合は、ゲームをダウンロードしたのに起動できないというものです。プレーヤーは、「なんでこれ、動かないんだ?」と困惑するでしょう。筆者にこの経験はありませんが、衝撃度の大きなバグといえます。

  • 8.2 「ハードウェアのバージョンによって正常動作しない」

 例えば、ある「ゲーム機だとプレイできない」「ゲーム機の型番が原因でプレイできない」などの不具合です。プレイステーション 2の時代にはよく発生したと聞いたことがあります。

9. 終わりに

 今回も、筆者の研究室で行っているゲーム品質の研究についてご紹介しました。筆者は、ゲーム業界の生産手法や品質に関係する情報は、他のソフトウェア業界と比べ、同業他社間であまり共有されていないと考えています。

 ゲーム系ソフトウェアメーカーごとに独自に発達してきたソフトウェア開発方式や品質制御をソフトウェア工学的に分析し他社と共有すると、想像できなかった発見があると思います。


【 筆者紹介 】
山浦 恒央(やまうら つねお)

東海大学 大学院 組込み技術研究科 准教授(工学博士)


1977年、日立ソフトウェアエンジニアリングに入社、2006年より、東海大学情報理工学部ソフトウェア開発工学科助教授、2007年より、同大学大学院組込み技術研究科助教授、現在に至る。

主な著書・訳書は、「Advances in Computers」 (Academic Press社、共著)、「ピープルウエア 第2版」「ソフトウェアテスト技法」「実践的プログラムテスト入門」「デスマーチ 第2版」「ソフトウエア開発プロフェッショナル」(以上、日経BP社、共訳)、「ソフトウエア開発 55の真実と10のウソ」「初めて学ぶソフトウエアメトリクス」(以上、日経BP社、翻訳)。


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