シーメンスが提案するIoT時代のPLM戦略、FAやMESとの統合も可能に?:PLMニュース(2/2 ページ)
IoT(モノのインターネット)化が進み、市場環境の変化が予測される中で製造業にとって重要となる製造プロセスのデジタル化。Siemens PLM SoftwareのDave Taylor氏が、同社のPLM製品における事業戦略について語った。
シーメンスが掲げる4つの柱とは
テイラー氏は、製造プロセスの完全なデジタル化に向けたシーメンスPLMの製品戦略における4つのビジョンについて説明した。同社の製品ポートフォリオは「Engaged Users」「Intelligent Models」「Realized Products」「Adaptive System」という4つ柱で構成されるという。
Engaged Usersとは、全てのツールをユーザーにとって使いやすいものにするというビジョンだ。Intelligent Modelsとは、デジタルモデルを使い、製品の設計および生産プロセスのシミュレーションを可能にすることを意味している。こうしたデジタルモデルなどを利用したバーチャルな製品設計の情報を、実際のフィジカルな製造プロセスと的確に連携させていくというのが3つ目の柱となるRealized Productsだ。
4つ目の柱となるのがAdaptive Systemで、ユーザー企業が利用する他のソフトウェアとの相互接続が可能なシステムを提供するというビジョンだ。先述したシーメンスPLMが提案する“デジタルエンタープライズ”の実現する上で重要なポイントとなる。テイラー氏は「ユーザー企業のIT環境に上手くフィットさせ、さらに他のシステムとのインテグレーションや、アップグレードなども簡単に行えるようにする必要がある」と説明する。
今後は各産業にフォーカスしたPLMソリューションに特化
テイラー氏は、シーメンスPLMの具体的な製品ポートフォリオとして、さまざまな産業に特化した形式でPLMソリューションの提供を行っていることを説明した。同社は2013年9月に、業界特化型のPLMソリューション「Industry Catalyst Series」を発表している(関連記事:シーメンスPLM、業界特化型パッケージを投入――PLM導入効果をより早く)。
シーメンスPLMは、今後も自動車、船舶、重機械、産業機械、医療機器など、さまざまな業界特有のニーズを満たすように同社の製品をパッケージ化して提供するという方針を継続する予定だ。現在、13種類の業界特化型ソリューションを提供しているが、今後さらに拡大させていく方針だという。
またテイラー氏はシーメンスPLMの長期的な方針として、「われわれのPLMシステムと、シーメンスのFAシステムとの連携も可能になると考えている。現在は各社で連携についての知見を溜めている段階。シーメンスPLMが、シーメンスグループの一員であるということは重要であり、他のPLMベンダーと比較してもユニークな存在であると考えている」と語った。
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