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アイシン精機はなぜイノベーションに注力するのかモノづくり最前線レポート(2/3 ページ)

アイシン精機は2015年1月に新たにイノベーションセンターを設置し、既存の事業領域にとらわれない新たな事業の柱を生み出す取り組みを強化する方針を示す。なぜ、アイシン精機は新たな事業を創出しなければならないのか。その第一弾プロトタイプ発表の会場で、同社イノベーションセンター長で常務役員の江口勝彦氏に話を聞いた。

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なぜイノベーションが必要なのか

 これほどまでにアイシン精機が新たな事業創出に力を入れる理由には何があるのだろうか。

 アイシン精機は売上高でトップ5に入る自動車部品メーカーだ。しかし「自動車関連技術を取り巻く環境は今大きく変化しており、必ずしも今の領域で成長できるとはいえない状況になっている」と江口氏は危機感を示す。


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アイシン精機 イノベーションセンター長で常務役員の江口勝彦氏

 例えば、自動車の需要は先進国から新興国中心へと移り、競合も従来の自動車関連企業から新興国メーカーや米国のGoogleをはじめとしたIT企業などに変わろうとしている。さらに顧客が自動車に求めるニーズも移動手段や豊かさの象徴などから、安心・安全・快適などに変化。さらに自動車という製品そのものを見ても動力がエンジンから電気や燃料電池などに移りつつある。

 また、自動車部品メーカーにとっては、自動車メーカーの部品調達方式が変化しつつあることも要因だといえる。ドイツのフォルクスワーゲンにおける「MQB」やトヨタの「TNGA」など、グローバルの自動車OEMメーカーの中では、自動車をプラットフォームごとに共通化しようという動きが加速しており、プラットフォームにどう入りこむかが自動車部品メーカーの成否を分ける動きになりつつある(関連記事:自動車部品メーカーに求められる“延長線上ではない改革”)。

 江口氏は「既存領域における優位性が今後も維持できるとは限らない。その意味では、既存領域だけではない新たな領域を継続的に開拓していくことが重要になる。新たなユーザーニーズを起点に考えた場合、既存領域で培った技術が活用できることも出てくる。これらを社内の規制の枠で考えるのではなく、最初から社外も巻き込んでフラットな形で取り組むことが重要だ」と考えを述べる。

 次ページでは、江口氏の一問一答の内容をお伝えする。

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