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日本の製造業よ、第4次産業革命で規格策定の舞台に立てスマートファクトリー(2/3 ページ)

ドイツのインダストリー4.0や米国のインダストリアルインターネットコンソーシアムなど、世界的にICTを活用した新たなモノづくりが胎動している。その中でドイツおよび米国のプロジェクトそれぞれに参加し、存在感を示しているのが米国National Instrumentsだ。同社でこれらの活動に参加しているグローバルテクノロジー&マーケティングディレクターのラマン・ジャマル氏に話を聞いた。

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インダストリー4.0とIICは統合する?

MONOist IoTやサイバーフィジカルシステムは概念としては新しいものではありません。実際に最初のワークショップが2006年でした。なぜ当時は広がらず、今になって急に動きが広がり始めたのでしょうか。

ジャマル氏 当初は学術的なものであったので、商用ベースに乗るまでには時間が必要だった。これらの状況を打破する存在となったのはスマートフォンの存在だろう。スマートフォンの普及がコネクテッドデバイスの普及を押し進め、一気にインターネット環境を広げることになった。2020年には500億ものデバイスがインターネットに接続しているとも言われており、IoTの世界を実現する動きが具体的なものとして実感できるようになった。

 また、これらを背景としつつ、ドイツ連邦政府や米国企業が具体的にこれらを形にするために活動を始めたというのも大きい。特にインダストリー4.0プロジェクトは、国策としてドイツ連邦政府が主導しており、これらの動きを見た製造業がそこに賛同し、輪が広がっていった。IICの中でもスマートファクトリーの部門は、既にインダストリー4.0と同調するような動きをしており、いずれは統合するような動きにもつながるかもしれない。そうなると、世界のモノづくり企業が協力して新しい姿を目指すという形になるだろう。

話し合いに参加しない日本の製造業は“危険”

MONOist 日本の製造業はIICでの一部を除いて、多くは積極的にこれらの活動に参加しようとしていないように見えます。こういう姿勢についてはどう考えますか。

ジャマル氏 非常に危険なことだと思う。日本の製造業はスマートファクトリー領域でも、FA(ファクトリーオートメーション)領域でも、世界のリーダーだ。既にドイツや米国で参加する企業はグローバルスタンダードを作ろうという動きに取り組み始めている。この話し合いに参加しないということは、自分たちに不利な「標準」ができたとしても、手出しできないことになる。

 また、逆に日本企業だけで標準化を進めたとしてもそれが海外で利用できなければ、売り先が限られるだけでビジネスチャンスを失うことになる。

 世界中が共に1つの流れで標準化を進めようという動きになった現在の状況では、まずは話し合いに参加し、自分たちが不利な状況にならないようにすることが大事だ。日本企業には「『ドイツを見る』『米国を見る』のではなく、グローバルを見るべきだ」と言いたい。そうすれば、必然的にこういう動きに関わらざるを得なくなるだろう。

 実際に、IoT(Internet of Things)ということで考えた場合でも、「Things」の領域に強い日本やドイツ、「Internet」の領域に強い米国、というように強みが分かれる。それぞれが協力し合いながらバランスを取って、最適な形を模索していかなければならないと考えている。

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