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ハードだけで差別化する時代の終えん! 日本通信がVAIO Phoneで目指すモノモノづくり最前線レポート(1/2 ページ)

日本通信とVAIOは、協業によりVAIOブランドのスマートフォン「VAIO Phone」を発表した。製造元は日本通信でVAIOは製品デザインに関わった。日本通信 社長の三田聖二氏は「ハードだけでは差別化できない。ハード、通信、アプリを組み合わせて最適化し始めて付加価値が生まれる」と述べている。

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 日本通信とVAIOは2015年3月12日、VAIOブランドのスマートフォン「VAIO Phone」を発表した。両社は2014年12月25日にスマートフォン領域での協業を発表しており、今回はそれをカタチにした第1弾製品となる(関連記事:VAIOブランドのスマホが登場へ)。

 VAIOは、ソニーからVAIOブランドとPC事業を継承し2014年7月1日に「VAIO株式会社」として事業を開始。2015年2月16日には新生VAIOとして初めてゼロから開発したノートPC2機種を発表するなど、さまざまな動きを具現化させ始めている(関連記事:新生VAIOはモノづくりで何を変えたのか)。

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VAIO 代表取締役社長の関取高行氏

 ソニーから独立し従来1000人以上の運営規模が約240人に減る中で、VAIOが積極的に取り組んでいるのが「協業」だ。新たなノートPCの開発時にも「共創」をテーマに掲げ、多くのサプライヤーとの共同開発や、対象顧客層との早期の意見交換などを進めてきた。もともとはソニーのPC事業部門だったVAIOにはスマートフォン開発、特に通信に関連する領域のノウハウはなかった。そこで今回、日本通信との協業によりスマートフォン領域への参入を果たすことになる。

 VAIO 代表取締役社長の関取高行氏は「ハードウェアと通信を組み合わせたパッケージで新たな価値をどう創出するかという議論の中で今回の協業が決まった」と話す。

スマートフォンビジネスの水平分業化を狙う日本通信

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日本通信 代表取締役社長の三田聖二氏

 日本通信は、1996年の創業から携帯通信網を持たずに移動通信サービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)の老舗企業だ。同社は「デジタルエイジにおいて情報を正しく届けるということを理念とし、さらに携帯キャリアができないことややりたがらないことをやる」(日本通信 代表取締役社長の三田聖二氏)事業方針であり、それを具現化する取り組みとして、携帯電話関連ビジネスの水平分業化を推し進めている。

 現在の携帯電話およびスマートフォン関連ビジネスは、通信網の利用サービスと端末をセットで販売する携帯キャリアの垂直統合型のビジネスモデルになっている。これに対し「IoT(モノのインターネット)が進展する中、キャリアが全てをまとめてビジネス展開するのは現実的ではなくなりつつある」(三田氏)とし、SIMによる「通信」と「端末」をそれぞれ別領域で競争させる形を目指す。

 しかし、2015年5月のSIMロック解除義務化を控えても、水平型のビジネスモデルはなかなか広がりを見せない。特に端末については、低価格だがノンブランド製品で機能的に魅力がないモデルか、日本メーカー製品で高価格であるものの“1年落ち”のモデルであるなど、SIMフリーのスマートフォンでは魅力的な製品がない状況だった。

 そこで今回、VAIOとの協業により、独自のSIMフリースマートフォンを発売することを決めたという。「SIMフリーのスマートフォンにおいて従来はなかなかストライクゾーンど真ん中の製品がなかった。VAIO Phoneではこの“ど真ん中”を目指した」と日本通信 代表取締役副社長福田尚久氏は述べる。

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VAIO Phoneを持つ日本通信 三田氏(左)とVAIO 関取氏

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