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スズキの2015年モトGP参戦車両は「コーナリングマシン」エンジンはV型から並列に(1/4 ページ)

スズキのGPチーム 技術監督を務める河内健氏が、同社が2015年から2年ぶりに復帰する「ロードレース世界選手権」に向けた新型マシン開発の裏側について語った。これまでのマシンに搭載していたV型4気筒エンジンではなく、新たに並列4気筒エンジンを開発した理由とは何だったのか。

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 自動車技術会は2015年3月2日、東京都内でシンポジウム「モータースポーツ技術と文化 〜モータースポーツの新技術と未来〜」を開催した。同イベントに、スズキ 二輪エンジン設計部 レースグループ係長でありGPチーム 技術監督を務める河内健氏が登壇。河内氏は、スズキが2015年から2年ぶりに復帰する二輪車レース「ロードレース世界選手権(モトGP)」に向けた新型マシン開発の裏側について語った。

 スズキはモトGPの2002〜2011年大会において、狭角V型4気筒エンジンを搭載するマシンで参戦していた。しかし、2年振りの復帰となる2015年大会には、新開発の並列4気筒エンジンを搭載したマシン「GSX-RR」での参戦を発表している。モトGPに参戦しているチームの中で、V型と並列の2つのエンジンを開発した経験があるメーカーはまれだという。モトGP復帰に向けて、従来と形式の異なるエンジンの開発を決断した背景には何があったのか。


会場に展示されたモトGPの2015年大会への参戦マシン「GSX-RR」。新開発の並列4気筒エンジンを搭載している(クリックで拡大)

V型から並列に変更した理由とは

 モトGPは2002年からレギュレーションが変更され、従来の2ストローク500ccに加え、4ストロークの990ccのマシンでの参戦も可能となった。スズキはこの2002年大会から、4ストロークマシンでの参戦を決定し、狭角V型4気筒エンジンを搭載する「GSV-R」で同大会に臨んだ。GSV-Rに狭角V型4気筒エンジンを採用した理由は、それまでの大会で利用していた2ストロークの500ccマシンである「GSV-γ」のマシンフレーム内に組み込むには、この型式が最適と判断したからだという。

 スズキは、2007年に排気量のレギュレーションが800ccに変更された後も、狭角V型4気筒エンジンを搭載するマシンでの参戦を続けた。2008年大会では、雨のル・マンでの優勝の他、7回の表彰台を獲得するなど、2002年からスタートしたV型4気筒エンジンのプロジェクトは着実に成果を出し始めていた。


スズキ 二輪エンジン設計部 レースグループ係長でありGPチーム 技術監督を務める河内健氏 出典:自動車技術会

 一方、この頃スズキの社内から、モトGP参戦マシンの開発の成果を、同社の量産バイクの販売促進と技術開発に有効活用するべきではないかといった意見が出始めたという。具体的には、モトGPの参戦マシンにスズキの量産バイクのフラッグシップモデルである「GSX-R」が採用している並列4気筒タイプのエンジン採用するということだ。河内氏は、「モトGP用マシンのレイアウトや、電子制御システムに関する技術は一般の市販車にも流用できることが多い」と語る。

 こうした背景により、スズキのモータースポーツチームは、排気量のレギュレーションが1000ccに変更となる2012年大会に向けて、量産車のGSX-Rと同じ並列4気筒エンジンを搭載した新型マシンの開発を2010年からスタートする。だが、翌年の2011年にリーマンショックの影響により、スズキはモトGP参戦の休止を決定。河内氏は「これにより、新型マシンの開発スピードも落とさざるを得なかった」と語る。

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