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日本の新たな宇宙計画、その背景にある安全保障と宇宙産業の関係性宇宙開発(1/3 ページ)

日本政府が2015年1月に発表した新宇宙基本計画。安全保障分野に関する宇宙利用の拡大など、日本の長期的な宇宙政策のビジョンが示された。この計画が策定された背景について、内閣府 宇宙戦略室の初代室長を務めた京都大学の西本淳哉氏が語った。

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 京都大学とブロードバンドタワーは2015年3月3日、東京都内で宇宙関連事業に関するセミナー「宇宙の科学、工学、政策の最前線」を開催した。その特別講演に、京都大学 宇宙総合研究ユニット 特任教授の西本淳哉氏が登壇。内閣府 宇宙戦略室の初代室長を務めた西本氏は、「国家戦略としての宇宙政策」をテーマに、日本の宇宙産業の現状と、政府が2015年1月に決定した新宇宙基本計画について説明した。

「宇宙基本計画」とは?


内閣府宇宙戦略室の初代室長を務めた京都大学 宇宙総合研究ユニット 特任教授の西本淳哉氏

 政府が2015年1月に決定した新宇宙基本計画。その枠組みを定める宇宙基本法は2008年5月に制定された。それと同時に内閣総理大臣を本部長とする宇宙開発戦略本部が内閣に設置されている。2009年6月にはこの宇宙開発戦略本部が、最初の宇宙基本計画の作成を行った。

 西本氏は宇宙基本法が成立した背景について、「それまで日本の宇宙政策は、宇宙衛星などを“開発すること”が中心で、その利用という側面を意識していなかった。性能が良いものを開発しただけでは意味がない。そこで、新たに宇宙基本法を定め、宇宙産業の発展や安全保障政策を含め、日本が宇宙をどう利用していくかという大きな方針を示した」と語る。

2008年5月に成立した宇宙基本法の概要と(左)。2012年には政府の体制も改められ、内閣府内に宇宙戦略室と宇宙政策委員会が設置された(右)(クリックで拡大)出典:京都大学

 宇宙基本法の成立後、2012年7月に内閣府に宇宙戦略室と宇宙政策委員会が設置され、日本の宇宙開発/利用を推進する体制はさらに確立する。西本氏が初代室長を務めた宇宙戦略室は、宇宙開発戦略本部の補佐役となる。宇宙政策委員会の審議を経て、宇宙開発に関する戦略的な予算配分の策定や各省への指示や、宇宙基本計画に盛り込むべき事項についての検討、さまざまな人工衛星などの整備、運用方針の決定を担っている。この体制の基で、2013年には初代宇宙基本計画も改められた。

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