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グローバル企業に求められるKPI管理とは?中堅製造業のためのグローバルERP入門(7)(1/3 ページ)

中堅製造業に効果的なグローバルERPの活用方法と、失敗しない導入方法を解説する本連載。今回は、ERPを導入した後に実際に効果を出すための運営手法として重要なKPI管理について解説します。

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 中堅製造業にとってもグローバル化が求められる中、そのIT基盤となるERPについてもグローバル仕様の導入が必要となります。大きな投資が必要となるERPですが、本連載では、その意義やメリット、失敗しない導入の進め方などを解説しています。今回解説するのは、ERPの導入に成功して無事に経営取得情報を取れるようになった“後”の話です。

 今回から2回にわたり、ERPの導入効果を高めるための一つのアプローチとして「経営状態の可視化」というキーワードをもう少し深く掘り下げます。「ERPによって効果的に経営状態を可視化するとはどういうことなのか?」「それがどのように経営に寄与するのか?」というポイントを説明します。



 本連載の第3回「ERPの導入効果を整理して投資の妥当性を判断しよう」でERP導入による効果の代表例として「経営状態の可視化」を紹介しました。しかし、せっかくEPPを導入して情報がとりやすくなっても、その情報をどのように活用するかの検討が不十分では、あまり意味がありません。実際、ERPを導入した企業でも旧来の経営管理の考え方からうまく脱却できず、データの取得元システムが変わっただけで経営に報告するリポートにはほとんど変化がない、という事例も決して少なくありません。

 システムの刷新に伴って情報を容易に取得できる基盤が整うと、どうしてもそれらを駆使して膨大なリポートを作ってしまいがちです。その内容が経営の意思に基づいて設計され、一つ一つが経営判断にどのように生かされるのか明確になっていればいいのですが、多くのケースでは各部門が独自に「気になったこと」を報告しているだけのように見受けられます。では、ERPに蓄積されるデータはどのように使いこなせばいいのでしょうか。

経営管理とKPIの関係

 「KPI」は、経営管理というテーマでは必ず出てくる重要な考え方で、「Key Performance Indicators:重要業績評価指標」の頭文字を取ったものです。まずはこのKPIという考え方と経営管理の関係性についてご説明したいと思います。

 ERPを導入した企業のデータベースには、データの種類・件数ともに非常に多くのデータが蓄積されます。B/S(貸借対照表)やP/L(損益計算書)に反映されるような会計性の情報はもちろん、そこにつながるまでの受注・発注といった取引途中の情報、社員の工数や残業時間・製品の販売個数のように単位が金額ですらない非会計性の情報も数多く含まれます。

 それらを何の戦略もないまま、やみくもに集計・分析しようとしても時間の無駄です。確かに今まで見ることのできなかったデータを見る、という意味では進歩になるのかもしれません。しかし、その分析結果がきちんと会社や組織を動かすための判断材料になるものでないと、そのデータは経営者にとっては何の意味もありません。膨大なデータが存在していて、それが容易に取り出せるようになっただけでは、「経営状態は可視化された」といえないのです。

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