「日本版インダストリー4.0」のハブに! 富士通が次世代モノづくり戦略を発表:スマートファクトリー(2/3 ページ)
富士通は「次世代モノづくり」実現に向けた新たなビジョンと、それに対する新サービスの提供を発表した。富士通では2012年から「ものづくり革新隊」として、製造業として自社のノウハウと、提供するICTを組み合わせた製造業支援サービスを展開しており、今回はその流れをさらに拡大するものとなる。
モノを作るICTベンダー
富士通は、設計開発現場では最先端のCAD/CAE技術を活用した他社内の開発情報基盤をクラウド化しどこでも活用できる開発プロセスを実現。一方で、生産現場ではトヨタ生産方式と独自のICT活用を組み合わせた「富士通生産方式(FJPS)」を推進(関連記事:富士通のPC工場、勝利の方程式は「トヨタ生産方式+ICT活用」)するなど、さまざまな取り組みを進めている。特に設計・開発領域の取り組みでは「モノを作らないモノづくり」として仮想環境でのシミュレーションにより工数を大幅に削減することに成功したという。
しかし、IoTと分析技術の進展により、モノづくりのさらなる進化が期待される中「『モノづくりを実践するICTベンダー』としてさらに全社的な取り組みを進めていく」と富士通 テクノロジ&ものづくり本部長の宮澤秋彦氏は語る。
具体的には、開発環境では2016年度までにクラウド環境に構築した統合開発プラットフォーム(エンジニアリングクラウド)上で、メモリ空間を共有する連成ソルバーを構築しより高度なシミュレーションを行えるようにする。そして2017年度までには製品開発情報を共有する「仮想大部屋会議」や、知識・学習エンジンによる設計・検証自動化システムを稼働させる計画だ。
また、製造環境については、2016年度までに同社が展開するデジタル生産準備と工程計画を統合し、自律型製造システムの確立を実現する。そして2017年度までに統合製造プラットフォームに構築されたバーチャルファクトリーと、実際の工場との双方向での情報伝達を実現し、変化や変動に柔軟に対応できる仕組み作りを行うという。
年間5億円の投資を継続
同社では、これらの新たな技術を開発するとともに、自社工場への導入を進め社内実践を進めていく方針。これらのリファレンスが完成する時期については「2017〜2020年を想定している」(宮澤氏)とし、モデル工場としては、ノートPCを生産している島根富士通やネットワーク製品を生産する富士通テレコムネットワークスなどの4、5工場を想定しているという。
またこれらのモノづくり関連技術の開発とリファレンスの創出を目的とした新組織として「ものづくりソリューション事業推進室」を2015年4月1日に設立し本格的に活動を進める方針だ。
宮澤氏は「これらの技術開発には年間5億円規模の投資を行う。最終的にはこれらの技術を導入することでリードタイムを半減、生産性を2倍にする」と話している。
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