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富士通が貫く福島発“メイドインジャパン”としての誇りメイドインジャパンの現場力(4)(2/4 ページ)

富士通のデスクトップPC生産を担う富士通アイソテックは、同社のデスクトップPCの累計出荷台数が2000万台を達成したことを発表。今や多くのメーカーが当たり前のようにPC生産の海外移転を進める中、福島県伊達市に本拠を置き、独自の生産プロセスの改善によって日本国内での生産を続けてきた同社の取り組みを紹介する。

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トヨタ生産方式を取り入れた生産革新運動の取り組み

 富士通アイソテックは、生産性の向上に対し2003年からトヨタ生産方式を参考にした生産革新運動に取り組んでいる。海外生産との激しい競争に備え、リードタイムの削減など、生産から物流までの徹底的な改善と効率化により品質と市場投入の速さを追求する狙いだ。

 同工場では、生産革新運動の一環としてICT(Information and Communication Technology)を積極的に活用した“先端的モノづくり”に取り組んできたという。記念式典と併せて行われた工場見学会では、ラインの停止回数などのデータを蓄積することで異常の“見える化”を行い、生産性の向上につなげる「FIT FINE SYSTEM」や、デジタルピッキングシステムが導入されている様子を見ることができた。

 トヨタ生産方式の導入やICTの活用による生産革新運動の結果、2004年から2013年までに、PC製造のリードタイムは約80%削減され、生産性に関しては約3.8倍向上。PCの棚卸残高も24%削減することができたという。

 岩渕氏は「福島工場でデスクトップPCの生産を開始した当初は、組み立てと試験の工程が別々だった。しかし現在では、組み立てと試験に加え、梱包の工程も一緒になっている。生産革新運動に伴い、生産ラインも大きく様変わりした」と振り返る。

富士通アイソテック工場内のデスクトップPC生産ラインの様子(左)。生産性の向上につなげる「FIT FINE SYSTEM」が導入されている(右)。(クリックで拡大)
デジタルピッキングシステムの導入により、部品ピッキングの効率化とミスの防止を図っている(クリックで拡大)
組み立てられたPCはエラーチェック用のプログラムによって自動でテストが行われる(左)。完成した製品の出荷もここから行われる(右)(クリックで拡大)

東日本大震災からの復興

 2003年からこうした生産革新運動に取り組んできた富士通アイソテックだが、2011年3月11日の東日本大震災では、大きな被害を受けたという。「さあ生産革新運動を次のステージへ……というタイミングでの震災だった」(岩渕氏)。


2011年3月の東日本大震災は富士通アイソテックにも大きな被害をもたらした(クリックで拡大)出典:富士通アイソテック

 東日本大震災では同社の工場を震度6弱の揺れが襲い、生産ラインは完全に停止。しかし、震災前より設定されていたBCP(事業継続計画)に基づき、12日後には富士通のノートPCの生産を行っている島根富士通(島根県出雲市)で代替地製造を開始したことで、製品供給を素早く再開した。富士通アイソテックの生産ラインは、一時は存続も危ぶまれたものの震災発生から38日後には復旧を完了させたという。

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