知っているようで知らなかった文章作成術のキホン(その2):レイコ先生の「明日から使える! コミュニケーションスキル」(12)(3/4 ページ)
前回解説した「分かりやすい日本語」だけでは、分かりやすい文書は作れません。分かりやすい文書作成とは、「パラグラフで文書を構造化する」ことです。
サブセンテンスでトピックセンテンスを補強する
パラグラフでは、サブセンテンスを用いてトピックセンテンスを補強します。サブセンテンスとは、トピックセンテンスの後に続く文のことです。図4のようにパラグラフは、トピックセンテンス1文と、いくつかのサブセンテンスで構成されます。トピックセンテンスだけを読めば、文書全体をおおよそ把握できますが、それだけでは読み手全員を納得させられません。「言いたいことは分かったけどその根拠は何なの?」や「いま1つ理解できなからもう少し詳細を説明してもらいたい」と感じる読み手がいるからです。そのため、トピックセンテンスを補うサブセンテンスが必要なのです。
サブセンテンスは読み手の3つの疑問に答えるように書きます。トピックセンテンスを読んで納得できていない読み手の頭の中では、以下の3つの疑問のいずれかが浮かんでいます。サブセンテンスで以下の疑問を解消することで、読み手全員に納得してもらえようになるのです。サブセンテンスは文書全体の説得力を高めるために大きな役割を果たしているといえます。
- どういう意味なのだろうか?
- なぜ、そう言えるのだろうか?
- どれだけ重要なのだろうか?
具体的には、「詳細説明」「言い換え」「比喩」「根拠/理由」「具体例」「データ」の6つの要素を取捨選択して、サブセンテンスを作っていきます。まず、「どういう意味なのだろうか?」という疑問は、詳細説明や言い換え、比喩などを使って読み手の知識不足を補うことで疑問を解消します。次に、「なぜ、そう言えるのか?」という疑問は、根拠や理由をしっかりと書くことで解消します。最後に、「どれだけ重要なのだろうか?」という疑問には、具体例やデータなど説得力のある情報で答えていきます。
サブセンテンスでトピックセンテンスを補強することで、以下の2つの効果が期待できます。
1.読み手がより正しく理解できる
トピックセンテンスは、1文で表現すると上述しましたが、1文の情報量には制限があります。おおよそ50〜100文字といったところでしょう。読点「、」を駆使して無理やり1文を長くすることはできますが、それでは、ダラダラと文章が続くだけで、余計に分かりづらくなってしまいます。トピックセンテンスの情報不足を解消して読み手がそのトピックを正しく理解できるように導くのがサブセンテンスです。
2.説得力が増す
トピックセンテンスを飛ばし読みすることで、読み手は書き手の論理展開(ロジック)を把握することはできます。しかし、それだけでは「考えは分かったけど同意はできない」という状態になってしまいます。「考えも分かったし、同意する」といった状態にするためには、説得力が必要です。この説得力を補強するのがサブセンテンスなのです。サブセンテンスで、具体例やデータを示すことで、1つ1つのパラグラフの説得力が増し、結果として文書全体も説得力の高い文書となります。
縦と横の関係を意識して各パラグラフをつなぐ
書き手のロジックを分かりやすく表現するためには、図5のように縦と横の関係を意識して各パラグラフをつなぐようにします。縦と横の関係が明確であればあるほど、文書の論理性は高まります。反対に、どこにも接続されていないパラグラフがあったりすると、ロジックが崩れてしまって分かりづらい文書になります。
各パラグラフは、トピックセンテンスを使ってつなぎます。各トピックセンテンスが正しくつながっていれば、上述した飛ばし読みが可能になります。逆をいえば、飛ばし読みがしづらい文書は、各パラグラフのつながりが不明確だということです。各パラグラフのつなぎ方には、縦の関係である「引継ぎ型」と、横の関係である「展開型」の2つのパターンがあります。
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