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老舗が生んだ革新、“全天球カメラ”誕生の舞台裏小寺信良が見た革新製品の舞台裏(3)(2/5 ページ)

“360度の空間を撮影するカメラ”として新たな市場を切り開くリコーの全天球カメラ「RICOH THETA」。そのアイデアはどこから生まれ、そしてそれを形にするにはどんな苦労があったのだろうか。革新製品の生まれた舞台裏を小寺信良氏が伝える。

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THETA誕生のいきさつ

―― そもそもTHETAの開発は、どういったコンセプトで始まったんでしょうか。

高田 2010年ぐらいに、これからのカメラの姿を検討するワーキンググループが社内でスタートしました。カメラや写真、映像の使われ方がどう変化してきたのかというのを考えていくと、「“ハレの日”のこの一枚」という、目的が決まった記念撮影的な使われ方という形がずっと続いていた。それがだんだんフランクになる中で、本当に「日常で何げなくふっと撮りたい」という写真や映像が増えてきているわけです。

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リコー コーポレート統括本部新規事業開発センターVR事業室の高田将人氏

 それは何を撮っているのかと考えたときに「その場の雰囲気を残したい」ということだと考えたわけです。そういう風に、写真の使われ方が変わってきているのです。では、その雰囲気を残すためにはどういうカメラが適しているのだろうと考えたときに「その場の全てのものを記録すればいい」という発想が生まれました。そこから、全天球で撮るというところにたどり着いたわけです。


―― 2010年というと、まだコンパクトデジカメも売れていたのではないでしょうか。その中にあっても、次の手を用意していたというわけですね。

高田 いえ、その当時でも既にコンパクトデジカメが徐々に頭打ちになっていくという危機感がありました。

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リコー技術研究所フォトニクス研究センター製品開発室の澤口聡氏

澤口 その中で当社の中長期の計画の中で、コンパクトカメラや一眼レフ以外のところを今後の成長領域と位置付けて、何かを生み出していかないといけないということでプロジェクトチームが発足しました。全天球カメラはその最初のトライアル製品だったのです。

高田 プロジェクトでは、「既存のカメラをどう伸ばすか」というところと、「全く新しい映像製品をどう作っていくか」という、2つのチームを作りました。そしてその「新しいもの」のチームから生まれたのが「THETA」です。これをカタチにするために、組織横断型のチームができたのは、2010年秋ぐらいのことだったと思います。

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その場の雰囲気を全て残すというコンセプトで生まれた(クリックで拡大)※出典:リコー

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