「音楽室のバッハの絵が話し出す」不思議な照明技術:組み込み開発ニュース
NTTが動き情報を投影することで、写真や絵に動きを与えることができる光投影技術「変幻灯」を開発した。
日本電信電話(NTT)は2015年2月17日、写真や絵に動きを与えることができる光投影技術「変幻灯」を開発したと発表した。「肖像画が話し出す」といった状況を容易に作り出せるという。
普段人間が映像を見る際には、映像中の色や形、動きを個別に認識し、統合的に知覚することで「動きのある映像」として認識する。「変幻灯」技術ではこの仕組みに着目し、写真や絵といった色や形を備えた静止物に、別途、「動き情報」を投影することで、あたかも対象が動いているかのような効果を与えることができる。
この技術を用いることで「風景画が風にそよぐ」「肖像画が笑う」「写真の中の人の表情が変わる」といった状況を作り出せる他、視点制限が発生するものの、3次元の物体に対しても「動き情報」を与えることで、動いているかのような印象を与えることにも成功したという。
対象に情報(映像)を投影することで新たな効果を生み出すという技術ではプロジェクションマッピングが知られるが、プロジェクションマッピングは周囲が暗くないと十分な効果が得られない、3次元の対象に投影する際には複雑な計算が必要など簡易なものとは言いにくかった。
対して変幻灯は明るい場所でも十分な効果を得られる、動き情報だけを投影するので対象の情報を塗りつぶさないといったメリットがあり、また、投影する動き情報についても比較的簡単な画像処理で用意でき、新たな視覚体験を簡便な手法で提供できるとしている。本技術は2015年2月19日〜20日に開催される「NTT R&Dフォーラム2015」にて、デモンストレーションが行われる。
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