メーターにディスプレイが付いたら分かりやすくなって驚いた!:いまさら聞けない 電装部品入門(17)(2/5 ページ)
速度計や回転計、燃料計などさまざまな計器を1つにまとめた電装部品がコンビネーションメーターだ。単にメーターと呼称されることもあるが、急速に採用が広がっているマルチインフォメーションディスプレイによって、車両に関する情報を格段に分かりやすくドライバーに伝達できるようになっている。
速度計
速度計は数ある計器類の中でも最も重要であり、唯一車検での確認項目に入っている計器ですので、少し細かく説明しておきます。
法規では、実際の速度と速度計が示している速度との誤差が明確に定められており、計器の誤差が基準内に入っているか(実速度に対して+15%、−10%まで可)を車検ごとに確認します。
実際の車速が時速40kmの場合、速度計が示してよい範囲は、時速約34〜44kmということになります。
実際の速度と速度計との誤差が大きい場合、知らず知らずのうちに法定速度を超過してしまったり、極端に遅く走って交通渋滞を招いたりという問題が考えられます。
速度超過の場合は事故をした時の衝撃が二乗になってしまいますので、交通社会に及ぼす影響は甚大なものになります。
かなり昔はエンジン(トランスミッション)側と速度計とをワイヤーでつなぎ、機械的に回転させることで速度計の指針を動かしていた時代もありましたが、今は電気的な駆動が主です(二輪車では今でもワイヤー式があります)。
速度計にズレが生じる原因として最も多いのがタイヤ径の変化(設計値とのズレ)ですが、電気式の場合は接点不良による電圧の変化も原因になり得ます。
仮に信号線の断線などで速度計が動かなくなった場合は、公道を絶対に走行してはいけない状態となります。
言うまでもなく、速度計は運転中に数えきれないほど確認しますので、視認性が最も重視されます。走行中に速度計を見るということは、最も注意を払わなければいけない前方視界から視線を外すという行為に他なりません。少しでも目線の動きを最小限に留める必要もあります。
さらにドライバーが最も目にする部分でもありますので、デザイン性にも富んでいなければいけません。少しでも目線移動を少なくするためのレイアウトとして、速度計を独立させて上部へレイアウトした事例もあります。
最近導入例が増えてきたのがヘッドアップディスプレイ(HUD)という手法ですね。
ダッシュボードからフロントガラス、もしくはダッシュボード上に設置したバイザーなどへ、速度やその他の情報(設計者の意図による)を投影し、前方視界から視線を外すことなく(焦点を合わせようとしなくても)必要な情報が常に表示されているという理想的な状態を実現しています。
実際に私もさまざまな場面でHUDを使って運転しましたが、目線移動はもちろん全く必要なく、とても価値がある機能だと感じました。コストが下がってくれば、これからどんどん導入されていく技術だと思います。
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