日系航空機メーカーは、主戦場のアジアで勝ち残れるか?:再生請負人が見る製造業(6)(1/3 ページ)
企業再生請負人が製造業の各産業について、業界構造的な問題点と今後の指針を解説する本連載。今回はMRJをはじめとしたブームに沸く航空機業界について解説する。
米国ゼネラルモーターズ(GM)や日本航空、ライブドアなど多くの企業再生を手掛けてきた企業再生のプロであるアリックスパートナーズが、企業再生の手法、製造業各業界の状況について解説する本連載。前回の「好況に沸く工作機械メーカーは盤石か!? 課題は営業力にあり」では、リーマンショック前の勢いを取り戻しつつある日系工作機械メーカーの動向と課題について取り上げた。
6回目を迎える今回はMRJ(三菱リージョナルジェット)などをはじめ、日系メーカーも活況に沸く、航空機業界について取り上げる。まずは、航空機業界の現状を紹介した後、業界としてどのような課題を抱えており、どういう対策を取るべきなのかを解説する。
民間航空機のブームは、今がピーク?
航空機産業は活況が続いている。航空旅客量は、2013〜2033年にかけて、中国や中東の成長率が鈍化するものの、グローバルで4.8%の年平均成長率を維持していくものと予測されている(IATA, ICAOデータを基にアリックスパートナーズ予測)。また、航空防衛業界全体を見てみると、民間航空機ブームに支えられ、利益率(EBIT)9.4%と記録的な水準に改善している(アリックスパートナーズ予測)。
ボーイングやエアバスをはじめとする民間航空機のOEMメーカーにとっても記録的な受注を獲得し、多くの受注残につながっている状況だ。地域的にはアジア、機材サイズでは120-169座席のナローボディが、需要のボリュームゾーンとなっている(図表1)。
ただ今後については、OEMメーカー、サプライヤーを含む業界内での利益(プロフィットプール)の奪い合いは激しさを増し、シェア拡大に向けたM&Aや再編もヒートアップしていくことが予測される(図表2)。
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