見えてきたソニー構造改革の終着点、問われる“止血”後の世界:製造マネジメントニュース(2/3 ページ)
ソニーは2015年3月期(2014年度)第3四半期(2014年10〜12月)の決算見通しを発表し回復基調にある現状を示した。断続的に続いた構造改革の終わりが見えつつある中、今後の注目を集めているのが“止血”後の世界だ。
テレビ事業は通期黒字の確度が高まる
分社化し構造改革を進めてきたテレビ事業については、第3四半期についても93億円の営業利益を生み出し、3四半期連続での黒字を実現。固定費削減の取り組みが奏功した他、北米では大手家電量販店であるベストバイと共同展開した店頭施策が成功。その他、4Kを中心とした高付加価値モデルの比率を上げるモデルミックスもうまくいったとし「通期黒字の確度は高まった」(吉田氏)。
ただ、まだ通期黒字については慎重な姿勢も見せる。「例えば、2013年度(2014年3月期)のテレビ事業は、第4四半期(2014年1〜3月)だけで166億円もの営業赤字を出している。それを考えればここまで積み上げてきた営業利益を第4四半期で失うという可能性もゼロではないので、慎重にのぞみたい」と吉田氏は述べている。
PSNの登録者は6400万人へ
PS3の投入期には重い開発コストの回収に苦しんだゲーム事業についても安定して黒字を生み出せる体制となりつつある。PS Vitaの苦戦やSony Online Entertainmentの売却などはあるものの、新プラットフォームであるPS4が順調に販売を伸ばしており、第3四半期は増収増益となっている。またネットワークサービスであるプレイステーションネットワーク(PSN)の加入者は6400万人を超え、ネットワーク売上高が順調に拡大していることが好要因となっている。
モバイル事業は規模を縮めて利益を狙う
構造改革を進めるモバイル事業については、追加の施策を発表。2014年9月の構造改革分も含めて、人員削減2100人、構造改革費用約300億円を見込む。また2016年度以降に2014年度比で年間900億円規模のオペレーション費用削減を実現するとしている。2014年11月の発表(関連記事:それでもソニーがスマホを再建しなければならない理由)内ではなかった、モバイル事業における2017年度の中期目標として新たに「売上高9000億〜1兆1000億円、営業利益率3〜5%」を掲げた。
モバイル事業は「利益の出る地域や機種に絞り込む」という基本方針を示しているため、2014年度のモバイル事業見通し(売上高1兆3200億円、営業損失2150億円)と比べても売上高の規模などは縮小しながら利益の出る体質を目指すことになる。
モバイル事業の構造改革についても「環境変化によるが、2015年度内にやり切るつもりだ」(吉田氏)としており、減少した販売台数で利益の出る体制が構築できれば、取りあえずの“止血”のめどが立つことになる。そこで注目されるのが“止血後”を見据えた成長戦略だ。
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