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自動運転はいつ実現? 日米欧が描くそれぞれのロードマップ自動運転技術(2/4 ページ)

内閣府が主導する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」において、自動運転システムの開発に取り組むSIP-adusが、欧州や米国の自動運転技術の開発における動向や、今後の研究開発の方向性について説明した。

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米国の研究開発を後押しする社会問題とは

 天野氏は米国の開発動向についても説明した。米国では米国連邦運輸省(USDOT)が、中期的なITSの整備に関する計画として「2015-2019 ITS Strategic Plan」を発表している。同氏によれば、米国では交通事故が多く、4歳と11〜27歳の死因のトップとなっており大きな社会問題になっているという。加えて、大規模な渋滞の発生による経済損失や環境問題など、道路交通に関する問題が深刻化している。USDOTが発表したITSの整備に関する計画の目的には、こうした課題の解決も含まれているという。


米国で深刻化する交通課題の概要(左)と、「2015-2019 ITS Strategic Plan」で扱われる研究対象分野の一覧(右)(クリックで拡大)出典:SIP-adus

 天野氏はこうしたUSDOTが主導する自動運転に関する長期的な研究開発の方向性について、「自律走行を行うクルマ同士による協調型の自動運転を目指している」と説明する。自動運転というと、Googleが開発を進めているような無人で走行するクルマのイメージもあるが、現在USDOTは自動運転を「ステアリング、アクセル、ブレーキといった制御機能の一定範囲をドライバーが直接操作しない走行」と、有人走行を前提に定義しているという。

自動運転システムの実証実験施設「Mobility Transformation Center(M City)」(クリックで拡大)出典:SIP-adus

 また天野氏は、米国における自動運転技術の開発に関するトピックとして、ミシガン大学とUSDOTなどが共同で、自動運転システムの実証実験施設「Mobility Transformation Center(M City)」を建設していることを紹介した。M City内には、約13万m2の敷地内に、市街路やトンネルといった多様な道路構造に加え、道路標識、信号機など、実際の交通環境を再現している。さらに、ITSの研究基盤も整備されているため、実際的な環境下で協調型自動運転の実証実験が行える施設になるという。

 ミシガン大学とUSDOTは、既に2012年から約3000台の車両を使った協調型運転支援システムの実証実験を行っており、天野氏は「車車間通信がどの程度安全性に寄与するかという観点では、約8割の機能がプラスの効果をもたらすと判断している。現在もM Cityの建設など、実用化に向けた動きを継続している」と説明した(関連記事:米国運輸省が車車間通信の導入に本腰、搭載義務化も想定)。

日米欧の自動運転に関する共通項とは

天野氏はEU、米国、そしてSIP-adusの3者の研究開発の姿勢を比較した場合、「自動運転は、安全性の向上、エネルギーの効率化、モビリティの向上の3点に寄与するという共通認識がある」と語った


自動運転技術開発における日米欧の関心項目の一覧(クリックで拡大)出典:SIP-adus

 その上で同氏は、「自動運転の技術を実社会に導入するには、国民の理解が不可欠。そのためには、1つ1つの要素について定量的に把握して国民に提示する必要があるが、さまざまなデータを基にしたシミュレーションが有効なのではないかと考えている。そこで、SIP-adusでは、欧州、米国、日本のそれぞれが行っている実証実験のデータを共有・比較し、さらに実用化に向けた議論が行える体制を構築していく。自動運転技術の公共交通や物流への応用に加え、ビジネスモデルや保険の整備といった部分の検討も重要になる」(天野氏)と説明した

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