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試作のプロも納得、国内初導入となった大型3Dプリンタ「Objet1000」3Dプリンタニュース(1/2 ページ)

試作造形ビジネスを展開するエムトピアは、国内で初めて最大1mの造形が可能な大型3Dプリンタ「Objet1000」(Stratasys製)を導入。このたびプレスツアーを開催し、導入の経緯などを説明した。

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 2015年1月19日、大阪府東大阪市で試作造形ビジネスを展開するエムトピア(大阪本社)にて、最大1mの造形が可能な大型3Dプリンタ「Objet1000」に関するプレスツアーが開催された。

 Objet1000は、Stratasys社の工業用3Dプリンタで、2014年12月にStratasysの日本販売代理店であるアルテックがエムトピアに販売した。Objet1000の導入は国内初で、アジア圏でも2台目になるという。


林廣守氏
画像1 大型3Dプリンタ「Objet1000」を国内で初めて導入したエムトピア 代表取締役の林廣守氏

 Objet1000の一番の特徴は、最大1000×800×500mmを誇る造形サイズ。従来、「大型3Dプリンタ」と呼ばれていたものよりも、はるかに大きな3Dモデルの出力が可能になる。

「Objet1000」の外観出力の様子 画像2(左) 「Objet1000」の外観。装置サイズは2.8×1.8×1.8mで、重さ1950kg/画像3(右) 出力の様子 ※画像クリックで拡大表示

動画1 Objet1000が稼働する様子

 Objet1000の出力は、Polyjet方式と呼ばれるインクジェットの文書印刷に似た技術を採用している。3Dモデルデータをスライスデータに置き換え、断面をインクジェット方式で一層ずつ印刷しながら積み上げていくイメージだ。ノズルから噴射される液体フォトポリマー層は、紫外線により瞬時に硬化していく。積層ピッチは、0.016mm。仕上がりの曲面も滑らかで高精度な造形が可能だという。Polyjet方式であれば二次硬化が不要で、3Dプリンタから取り出してすぐに取り扱うことができるとのことだ。

モニタリング1モニタリング2 画像4(左) 「Objet1000」は2台のPCで管理されているという。機械内部温度や材料の残量、出力状況などをモニタリングできる/画像5(右) こちらの画面では、出力を開始して何時間経過したか、何%まで出力が完了したかなどを表示している ※画像クリックで拡大表示

 さらにObjet1000は、ゴムのように柔らかい素材から硬質素材、透明から不透明な素材と、広範囲にわたる材料をサポート。マルチマテリアルに対応しているため、カメラの筺体のように“メインの外装部分は硬質素材、グリップ部分だけは柔らかいゴム素材で出力する”という造形も行える。

Objet1000導入の決め手はどこか?

 今回のObjet1000導入について林廣守氏は「試作造形のプロとして選んだ。従来の3Dプリンタの出力は、経年劣化の問題があったが、Objet1000の出力サンプルを見て『これならいける』と感じた」と述べている。

林廣守氏出力サンプル 画像6(左) Objet1000の出力サンプル(エンジンブロック)を手に導入経緯を語るエムトピア 代表取締役 林廣守氏/画像7(右) Objet1000で出力したエンジンブロック ※画像クリックで拡大表示

 一般的に、大きな3Dモデルを3Dプリンタで出力する場合、そのモデルをパーツごとに分割して出力し、後から張り合わせる工程が必要だったという。「パーツを分割出力した場合、曲面のある3Dモデルだと正確に張り合わせるのが難しい。分割や張り合わせ不要で、(かなり大きなサイズでも)一度で出力できるのは大きなメリットだ。ズレてしまうリスクがなく、正確な造形物を納品できる」(林氏)。

 工業模型の制作において、1種類の材質だけで完成することはまずない。ABSやゴム、アクリル系の樹脂も、硬度や透明度などが複合されているので、これまでは材質を交換する必要があった。これに対し、Objet1000は複数の素材での造形やデジタルマテリアル(装置内で合成する複合材料)が可能であるため、工程の簡略化が図れるという。「出力サイズと、材質が決め手。Objet1000は仕上げの表面処理さえすれば、そのままお客さまに納品できてしまう」と林氏は語る。

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