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ミニバンからスポーツカーまで、新たな価値を生み出すクルマ作りの本質オートモーティブワールド2015 基調講演リポート(2/4 ページ)

「オートモーティブワールド2015」の基調講演に本田技術研究所 取締役 専務執行役員の山口次郎氏が登壇。同氏は「未来のモビリティ社会と“Waku Waku”する新価値創造」をテーマにホンダの製品開発エピソードや、今後の技術開発の展望について語った。

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ステップワゴンの開発コンセプトは「家族で温泉に行けるクルマ」

 山口氏は新価値商品の開発に重要な2つ目のキーワードとして、「苦し紛れの知恵」を挙げた。「修羅場を経験して生まれたアイデアこそが新しいソリューションになる」(山口氏)という思いが込められたこのキーワードを象徴する開発事例として、同氏はホンダのミニバン「ステップワゴン」が生み出された経緯について説明した。


4代目「ステップワゴン」の外観 出典:ホンダ

 現行モデルで4代目となるステップワゴン。初代モデルが発売されたのは、1996年5月のことだ。1990年代前半、ホンダは販売台数の落ち込みなどによる経営不振に直面していた。ホンダはこうした厳しい経営状況の打開や、他社より出遅れていたミニバン市場への参入に向けて、1994年に発表した「オデッセイ」など、「クリエイティブ・ムーバー」と名付けた新型のミニバンシリーズを続々と発表していった。

 初代ステップワゴンは、このクリエイティブ・ムーバーの第3弾に当たる。その開発コンセプトは「家族で温泉に行けるクルマ」だったという。山口氏は初代ステップワゴンの開発背景について「研究開発のトップが『これから家族で温泉に行けるクルマを作る』と宣言したときのことを今でもよく覚えている。当時、開発中のステップワゴンを見て『これは格好悪い』という社内からの声もあった。しかし、クルマとしてどうかということより、“家族で楽しく温泉に行ける”というユーザーの体験価値を尊重しつつ、経営危機や生産ラインの制約といった厳しい状況中で開発を進めていった。結果的にステップワゴンは広くユーザーに受け入れられるクルマになった」と語った。

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